『誰もが快適な生理を』プロジェクトは、全国の学校や企業などのトイレにノンポリマー生理用ナプキンを設置し、QOLを向上させていく取り組みです。多くの学校や企業、団体などで導入されている中、2025年11月8日に『誰もが快適な生理をサミット2025』を開催。
計5組の学校と団体が登壇し、生理用品の設置や環境改善に向けた取り組みをスピーチ形式で発表しました。さらに、大阪大学の杉田映理先生、京都ノートルダム女子大学の松島るみ先生によるセミナー、イベントの最後には授賞式も実施。その模様をフェムテックジャパンカレッジのライターがお届けします。

男女ともに理解を深め合える環境づくりを目指す
スピーチのトップバッターは、2023年から『誰もが快適な生理を』プロジェクトに参加している『京都ノートルダム女子大学 現代人間学部心理学科』。女子学生を対象に学内トイレに設置された生理用ナプキンの利用状況を調べたところ、利用率の向上と満足度の高さが明らかになった一方、設置場所や補充体制に課題があることも見えてきました。
さらに、男子学生を対象にした調査では、生理用ナプキンの交換頻度を「1日1~2回」と誤解している学生が半数近くに上ったという結果が出たそうです。これを受け、男女間での生理に関する知識差を埋め、社会全体で理解し合うことの重要性を改めて実感。男女ともに理解を深め合える環境づくりを目指していくことが発表されました。
学生ならではの発想で社会課題にアプローチ
次に登場したのは、生理のある人のウェルビーイング向上を目指して2022年に始動した『東洋大学 Toyo-MeWプロジェクト』。学生たちの働きかけにより、現在ではすべてのキャンパスで生理用ナプキンの設置が実現したそうです。
そして、次なる一歩として、吸水ショーツや月経カップの実証実験を通して新たな生理用品の可能性を探るほか、男性への理解促進を目的とした生理痛体験イベントや、生理をテーマにした漫才づくりにも挑戦するなど意欲的に活動中。企業との共同研究も行っており、課題解決の輪を広げている様子が印象的でした。
地域と連携しながら活動を拡大していく
続いては、沖縄県内の小中学校や児童養護施設などで、生理用ナプキンをトイレの個室内に設置する活動を続けている『生理の貧困を考える会おきなわ』。
県内の小学4年生から高校3年生までの女子学生にアンケートを実施した結果、約9割が「トイレの個室内に生理用ナプキンがあると助かる」と回答したことを受け、子どもたちが安心して学校生活を送れるよう、行政への予算化要請や学校訪問に取り組んでいます。
現在は、離島を含む県内各地の小中学校へ設置を広げつつ、初期設置を支援するサポート事業も展開中とのことでした。
ひとりの生徒の探究が広がりを見せる
唯一の高校生参加者となった『長野県松本県ヶ丘高等学校 探求科』では、スピーチ発表者自らがテーマを設定して研究に取り組んでいます。その始まりは、オープンキャンパスで訪れた東洋大学のトイレで生理用ナプキンが設置されているのを見て感動したことから。「学校における生理の困り事をなくしたい」と探求を始めたそうです。
今年の2学期の始まりから1ヶ月間を利用し、『誰もが快適な生理を』プロジェクトの協力を得て、学内トイレで生理用ナプキンの無償設置トライアルを実施。その結果、ほとんどの生徒が「設置を継続してほしい」と回答したことを受け、現在学校への予算提案を進めながら、持続的な設置と補充体制の仕組み作りを検討中。ひとりで始まった取り組みが少しずつ広がっているのを感じました。
学生が安心して過ごせるキャンパス環境を!
最後は、2024年11月に行われた第1回『誰もが快適な生理をサミット2024』で最高金賞を受賞した『岩手大学』が登場。学内の生理用ナプキン設置を通じて、今年4月から8月の5ヶ月間で約5,328枚が利用されたことや、学生からは「急な生理でも助かった」「経済的に支えられた」との声が寄せられ、生理に困る学生の現状が可視化される結果が発表されました。
また、学内でジェンダー活動を行う男女共同参画推進学生委員会『GESCO(ジェスコ)』では、学園祭で生理痛体験イベントを開催。約60名が参加し、性別を問わず生理への理解を深める場となったようです。
第3回『誰もが快適な生理をサミット2025』受賞結果

『誰もが快適な生理をサミット』は来場者の投票によって、【スピーチ部門】と【掲示物部門】の受賞者が決定します。今回も多くの来場者からの投票により、【スピーチ部門】の最高金賞・銀賞・銅賞、【掲示物部門】の金賞・銀賞が選出され、賞状と副賞が贈られました。
■スピーチ部門
【最高金賞】長野県松本県ヶ丘高等学校
高校生がひとりで始めた活動の実行力と熱量が多くの来場者から支持され、最高金賞の受賞につながりました。
【銀賞】京都ノートルダム女子大学
2023年からの継続的な取り組みが高く評価され、銀賞を受賞。第2回『誰もが快適な生理をサミット2025 KANSAI』からの連続受賞となりました。
【銅賞】Toyo-MeWプロジェクト(東洋大学)
生理痛体験イベントや漫才の開発など、ユニークな取り組みを通して生理への理解を広げようとする姿に多くの票が集まり、銅賞に選出!
■掲示物部門
【金賞】京都ノートルダム女子大学 エントリーリスト 6番
生理のある学生に寄り添う内容と誰もが理解しやすい工夫が共感を呼び、グランプリを獲得。
【銀賞】旭川市立中央中学校 エントリーリスト 5番
養護教諭の先生による丁寧な表現と温かみのあるメッセージが見る人の心を惹きつけ、銀賞に選ばれました。
それぞれの取り組みを通して、生理を取り巻く環境が少しずつ変わり始めていることを感じました。これからの動向にも注目していきたいです。
執筆/平野絵梨香
No.00194
2025年11月28日リリース