人間の身体には、心臓や肺、胃、大腸など、いろんな臓器があります。そして、女性の身体にはクリトリスと呼ばれる臓器も。そもそもクリトリスが臓器のひとつであることを知っていましたか? 自分の身体にあるのに、クリトリスについては知らないことが多いのではないでしょうか。そこで、解剖学などを学び、国家資格を保有する鍼灸師の栗本夏帆さんに教えてもらいました。
クリトリスの役割は快感を得ること
心臓は筋肉でできており、伸縮を繰り返すことで身体中に血液を送り出していますし、肺にはキレイな血液を作るための空気清浄機のような役割があります。このように、ひとつひとつの臓器には役割があります。
そして、クリトリスも臓器のひとつです。その役割はといいますと、快感を得ること、オーガズムを得ることです。とても不思議に感じるかもしれませんが、クリトリスは快感を得るためだけの臓器なのです。
クリトリスの大部分は体内にある
まずは、クリトリスの構造を見てみましょう。
1.陰核亀頭(いんかくきとう)
先端部分がとがったような形状をしており、クリトリスの一部として目視できる部分。個人差はありますが、5~7mmほどのサイズ。男性器の先端部分(亀頭)と同じ役割があります。
2.陰核海綿体(いんかくかいめんたい)
スポンジ状の勃起性組織で、ほとんどが血液で占められています。その先端は陰核脚(いんかくきゃく)と呼ばれます。
3.前庭球(ぜんていきゅう)
左右にある扁平な棒状になっている海綿体のことです。性的興奮によって膨張し、後部にあるバルトリン腺と呼ばれる大前庭腺(だいぜんていせん)を圧迫して分泌物を排出させています。
4.尿道口(にゅうどうこう)
その名の通り、尿が出てくる場所です。
5.腟口(ちつこう)
尿道口の下には、腟の入口となる開口部があります。
クリトリスは、陰核亀頭(イラスト1)と呼ばれる部分が目視できる部分で、それ以外は内側にあります。全体サイズは個人差がありますが9~12cmほどで、そのすべてで快感を得ることができます。
女性の代表的な性感帯としてGスポットがありますが、それもクリスリスの一部。腟口(イラスト5)から指を入れて2~3cmのところで指を曲げた場所がGスポットだと言われています。
このGスポットは、ドイツの産婦人科医が長年の研究の末、そのあたりに敏感に反応する場所があると突き止めたとされています。そして、その研究内容を本として出版したことで全世界に広まり、認知されました。そのため、その先生のイニシャルから取って、Gスポットと呼ばれるようになったそうです。
Gスポットはいわゆる中イキの場所とされていますが、ピンポイントで刺激をしても感じるわけではありません。なぜならば、Gスポットと呼ばれる場所は、普段は隠れているから。
重要なのは、クリトリス全体を刺激することです。そうすることで海綿体構造が膨張し、男性でいうところの勃起と同じ状態になります。そうなるとGスポットが現れるというイメージです。
クリトリスについて知ると悩みの解消につながる
もし、濡れにくい、途中で乾いてしまうといった悩みがある場合は、クリトリスの構造を知ることで解消につながると思います。
外側にある陰核亀頭だけがクリトリスだと思っている人も多いのですが、まずはほとんどの部分が目に見えていないということを知ってください。そして、いわゆる濡れている状態になる仕組みも理解しましょう。
クリトリス全体で刺激を感じて陰核海綿体が膨張。その後部にある大前庭腺が圧迫されて分泌液が排出されます。これが濡れている状態です。
また、途中で乾く、乾くと痛くなるという場合は、途中で陰核海綿体がしぼんでしまい、男性でいうところの中折れした状態。快感を得るためには、クリトリスをはじめとした身体の刺激だけではなく、雰囲気作りやその時の体調、気持ちも大切です。濡れにくくても、途中で乾くことがあっても、そういうこともあるということを理解していてください。
知ることで恥ずかしさが軽減する
クリトリスは心臓や肺、大腸などと同じ臓器のひとつであり、その役割は快感を得ること。そのことを知ると、これまでの印象が変わってきませんか?
知らないからこそ、恥ずかしさや隠さなくてはいけないことという印象が強くなってしまうと思うので、自分の身体を知るためにクリトリスのことも知るという認識で向き合ってくださいね。
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