セクシャルウェルネス

産婦人科医が教える!オーガズムギャップとは?

一度のセックスでオーガズムに達する率は、男性95%、女性65%と言われています。同時に行為をしているにもかかわらず、なぜ男女で開きがあるのでしょうか。そして、この開きはオーガズムギャップと呼ばれています。

オーガズムを得ることがすべてではありませんが、オーガズムギャップについて知ることは、より満足感を得るセックスにつながると考え、セクシャルウェルネスに造詣の深い産婦人科医の宮本亜希子先生にお話を伺いました。

オーガズムギャップの現状

オーガズムギャップの現状

「フロリダ大学の教授、ローリー・ミンツ博士が実施した、約800名の大学生を対象にした調査結果によると、男性のオーガズム達成率は恋愛対象が異性の場合は95%、バイセクシャルは88%、ゲイは89%とそこまで大きな違いはありません。一方、女性の場合は、異性の場合は65%、バイセクシャルは66%、レズビアンは86%と、対象者によって約20%の違いがあることがわかっています。

この違いには、身体に対する理解度の低さ、さらには男性側の勘違いもあるように思います」(宮本亜希子先生・以下同)

“挿入信仰”がギャップにつながる

「オーガズムギャップが起こる要因のひとつには、“挿入信仰”があると考えられます。セックスといえば挿入、挿入すれば気持ちいいという、AVなどのメディアからの刷り込みに加えて、男性は挿入することで気持ちよさが得られることから、女性も挿入すれば気持ちがいいはずと思い込んで起こっている現象です。

挿入信仰は主に男性が強く持っていますが、女性も信じてしまうと『挿入が気持ちよくないのは私がおかしいからだ』と、間違った思い込みにつながってしまいます」

女性の性感帯はクリトリス

女性の性感帯はクリトリス

「挿入信仰につながるひとつの要因に、女性は腟で感じると思っていることが挙げられます。女性が感じているのは、腟ではなくクリトリスです。腟に挿入してクリトリスが刺激されることで感じています。ですが、このことはほとんど知られていないと思います。逆をいうと、レズビアンカップルは女性同士なので、女性が気持ちいいところを知っているからオーガズム達成率が高いのだと考えられます。

なぜクリトリスで感じているのかと言いますと、女性のクリトリスと男性の陰茎(男性器)は、胎児の段階では同じ臓器です。男児はテストステロンの影響で陰茎に、女児は影響を受けないためクリトリスに発達していきます。

そして、陰茎は感じるだけではなく、射精や排尿をする機能を持っていますが、クリトリスはただ感じるためにある臓器です。腟ではまったく感じていないわけではありませんが、かすかに感じている程度で、クリトリスのほうが圧倒的。

この事実を踏まえると、女性が中でイキにくいのは自然なこと。悩む必要はないのですが、多くの人が悩んでしまうのは、性を学ぶための主なソースとなっているAVではそのことが描かれていないからだと考えています。そもそもAVはリアルなセックスとは異なるファンタジーです。ということは、必ず中イキすることもファンタジーであることを覚えていてください」

 

男女では感じるまでの工程が違う

「男性は、生殖適齢期の女性の裸や女性器を見れば、基本的に性的興奮を覚えますが、女性はそうではありません。女性は男性の裸や男性器を見ても興奮はせず、それが誰のものかということがとても重要です。

基本的に女性は、好きな男性やセックスしてみたいと思った男性を前にして、初めて性的興奮を覚えます。ということは、なんとも思っていない男性の裸や男性器を見て、なにも思わないのは当たり前。この違いもオーガズムギャップにつながる要因といえます。

女性がオーガズムを得るためには、感じるための臓器であるクリトリスへの刺激だけではなく、身体全体や気持ちにも働きかけるアプローチが必要になります。相手に対する気持ちはもちろん、雰囲気やシチュエーションによる気持ちの高まりなども大切な要素。女性にとっては精神的なものも重要だということを忘れないでください」

オーガズムギャップとの向き合い方

オーガズムギャップとの向き合い方

「オーガズムギャップを埋めるためには、女性を気にかけることで解消へ向かってきます。

まずは、女性の心身の状態を気にかけることから始まります。たとえ体調がよくても、気持ちが乗らなければ感じることができません。女性もオーガズムを得るためには、セックスに没入できる状態であることが必要です。そのために、体調や気持ちを確認することが大切になります。

そして、行為中も女性の状態を観察しましょう。痛がっていないか、気持ちよくなっているかなど、自己判断せず、言葉による確認を行うといいと思います。加えて、パートナーとセックスを重ねていくうえでは、お互いの嗜好を知るということも重要です。お互いの性的指向を知っておくと、満足度が違ってきますし、それが女性のオーガズム達成率を高めることにもつながります」

「自分がこうだから相手もそうだろう」と思っていると、スタートから間違ってしまい、お互いが満足するセックスから遠ざかってしまいます。男女では、性的刺激を受ける感覚も、気持ちよさを感じる身体のパーツも違うことを知り、思いやりを持って、お互いが気持ちよくなるためのセックスをしていきたいですね。

執筆/瀬戸ゆずき

No.00204
2026年2月13日リリース

宮本亜希子先生

一般婦人科、性のお悩み、婦人科美容など女性の美や健康に関わるさまざまな分野に専門知識を持つ。婦人科保険診療のみならず、性教育や子宮頚がんに関する知識の普及、女性の生活の質向上にも力を注ぎ、また腟ヒアルロン酸や婦人科形成手術を行い、美容婦人科指導医としても活躍。“産婦人科医が行うフェムテック医療”として、フェムゾーン美容外来も行っている。AVプロダクション『Mine's』顧問医師・『Medytox』社腟ヒアルロン酸注入認定指導医(世界初)・日本女性医学会更年期指導士・女性医療クリニック『LUNA』『BIANCA CLINIC』『スワンクリニック銀座』勤務。3児の母でもある。