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初開催!『フェムテックジャパン イノベーションピッチ2025』の模様をレポート

2025年7月10日に開催された『フェムテックジャパン/フェムケアジャパン2025』。会場では、初めての『Femtech Japan Innovation Pitch 2025』も同時開催されました。

『Femtech Japan Innovation Pitch 2025』は、女性特有の健康課題解決へ向けた革新的なアイデアや技術を持つ企業・団体を選出するコンテスト。短時間のプレゼンテーションを行い、審査委員会による審査を経て、受賞者が決まります。

初開催となった今回は、24のブランドが最終ノミネートに選出。スタートアップから大手企業まで、多彩なフェムテック・フェムケア企業が参加し、それぞれの想いや挑戦が熱く語られました。そして、審査の結果、金賞1ブランド、銀賞1ブランド、銅賞1ブランド、さらには、急遽設けられた審査員特別賞2ブランドの計5ブランドが受賞しました。

>>>最終ノミネート一覧
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【金賞(グランプリ)】美容室はまちの保健室®/日本美容創生株式会社

『美容室はまちの保健室®』は、美容室を地域の保健室として活用し、更年期を迎える女性の心身の健康をサポートする取り組みです。美容師が髪や頭皮のケアだけでなく、更年期症状に関する健康相談も行っています。

ホルモン検査キット『メノーア ヘア スキャン』は、その取り組みのひとつ。美容師が毛髪をカットして、製薬会社の研究所へ郵送。検査の結果、症状が重い場合には地域の婦人科や泌尿器科、内科などの受診につなげていきます。

すでに複数の自治体と連携し、地域全体で女性の健康を支えるシステム作りが高く支持されたことでグランプリを受賞しました。

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【銀賞】onaka想いサニタリーショーツ/セーレン株式会社

血行促進によって生理痛やPMSの症状を緩和できる、一般医療機器認定のショーツ『onaka想いサニタリーショーツ』は、総合繊維メーカーの『セーレン株式会社』が3年の歳月をかけて開発。血行促進の秘密は、糸に練り込まれた金・銀・プラチナなど10種類以上のレアメタルです。これらが太陽光や室内照明、人体から放出されるエネルギーを吸収し、身体に反射させることで血流を促します。

さらに、お腹をすっぽり包み込む深履き設計に加え、360度ストレッチ素材&ゴム不使用で、生理期間をより快適に過ごす工夫も凝らされています。その細部にまで落とし込まれたこだわりや、身体の巡りを整えるアイテムを取り入れてもらいたいという想いが銀賞受賞につながりました。

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【銅賞】INAXシャワートイレ ビデ専用ノズル/株式会社LIXIL

『INAX』のシャワートイレは、おしり専用ノズルと『ビデ専用ノズル』の2本のノズルを搭載しています。ある調査によると、女性のビデ利用率は約半数にとどまっていて、その理由の多くが「ノズルの衛生面が気になる」というものでした。『INAX』は、それぞれに専用ノズルを設けることで、衛生面への不安を軽減し、常に清潔な状態で使用できるよう設計されています。

しかも、『ビデ専用ノズル』は今から37年前の1988年に誕生。フェムテックという言葉が広まる以前から女性の声を取り入れ、改良を続けている企業姿勢や、毎日使うトイレでデリケートゾーンケアという独自の視点が銅賞となりました。

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【審査員特別賞】ホルモンチェッカー/女性のミライ研究所

『女性のミライ研究所』が開発を目指す『ホルモンチェッカー』は、PMSや更年期など、ホルモンの変化によって起こる女性特有の不調を可視化するための新しいデバイス。血液検査が必要なホルモン値を心拍から測定できる仕組みを研究中で、心拍の変動とホルモン値の相関データを収集・解析し、日々の体調を簡単に把握できる仕組みを目指しています。実現した場合、不調を客観的に説明することができ、職場や周囲の理解が得やすくなります。

将来的には大学発のベンチャー企業を立ち上げ、製品化し、女性が安心して休養を取れる社会を目指しているとのこと。これからの将来性に期待して、特別賞に選ばれました。

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【審査員特別賞】DIOS-101/株式会社Dioseve

『DIOS-101』は、体外受精で使う卵子の質と数を増やすことを目指した、新しい不妊治療技術です。日本では体外受精の成功率が14%未満と低く、特に35歳以上の人では成熟した卵子が十分に取れないことが課題となっています。これまで未熟な卵子は使えずに廃棄されていましたが、この技術ではiPS細胞から作った卵巣細胞(顆粒膜細胞)を使って体外で成熟させることができるようになるため、妊娠のチャンスを広げられます。さらに、長期間に及ぶホルモン投与が不要になり、副作用や通院、費用の負担も軽減されます。

現在は研究段階ですが、海外の同様の技術と比べて約3.4倍の効果も確認されていて、今後の医療現場での導入が期待されています。その期待値と革新的な技術が高い関心を集め、特別賞が贈られました。

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執筆/平野絵梨香

No.00183
2025年9月5日リリース

フェムテックジャパンカレッジ編集部

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