ウェルネス・疾患ケア

「まさか自分が……」がんを経験した女性たちが語る、定期検診の大切さ

がんを告知された時、「まさか自分がなるなんて……」と思ったという声は少なくありません。そして、「早く知識を持っておくべきだった」という、罹患後に気がつくこともあるといいます。

今回は、婦人科系がんでもっとも罹患者が多い乳がんを経験した3名のサバイバーと、子宮頸がんの治療に向き合う1名のリアルな声をお届けします。

健康への過信は禁物!

健康への過信は禁物!

Aさんは52歳の時、自治体から届く乳がん検診クーポンを利用した際に乳がんが発覚したそうです。自覚症状は特になく、診断直後は「まさか自分が?どうしよう?と動揺の連続だった」と話してくれました。

「動揺しているとはいえ、治療方針を早急に決断しなければならない状況。当初は、部分切除の予定で考えていましたが、別の部位にも気になる影が見つかったため、全摘することを、わずか5日間で決断をしなければならなくなりました。心身ともに負荷の大きい日々でした。兄に相談したものの、母と娘たちには話をしないまま手術に臨みましたが、心細さはありながらも結果的にその選択でよかったと思っています。

術後は、痛みと筋間に余分な体液が溜まってしまう水腫(すいしゅ)で回復に時間がかかりましたし、痛みとショックで眠れぬ夜もありましたが、退院後は少しずつ気持ちも含めて安定。しばらくは重いものが持てなかったので、家事は最低限にしてできる範囲で日常をこなしていきました。ネットスーパーを利用したため食費は嵩みましたが、がん保険と高額医療制度に助けられた部分もあります」

手術から約5ヶ月経った今は、大好きな温泉にも行けるようになったとのこと。そして、「忙しさと自分の健康への過信で検診をサボっていたので、今後は年1回の人間ドック、区で受けられる検診はきちんと受けていこうと思います」と、検診への意識の変化も起きたそうです。

医療費と生活費は別だった

医療費と生活費は別だった

Bさんは49歳の時、セルフマッサージ中にしこりに気づき、病院を受診。告知をされた時は、「ショックというよりは治療がめんどうだな」という感覚だったと話します。

「告知1週間後から化学療法を開始した後、温存手術と放射線治療を受けました。

コロナ禍だったこともあり、在宅勤務に切り替え、体調のいい日だけ仕事をしていたのですが、同居する要介護の家族からは、体調への配慮が得られず、ストレスが大きかったです。

医療費については、女性特約をつけたがん保険に加入していたことと、高額療養費制度も利用しました。ただ、生活費まではカバーできないことを知らなかったので、負担はありました」

現在は治療を終えているものの、定期的に受診をしているそうです。その理由は、「病気による症状や検査異常が消失する状態である寛解(かんかい)まであと5年の期間があるから。誰でもがんになる可能性があるので、早期発見につながるよう検診を受けてほしいです」

身体の変化を見逃さない

身体の変化を見逃さない

Cさんは、健康診断などを一度も受けたことがなかったのだそうです。どのように異変に気がついたのでしょうか。

「乳房に弾力あるしこりを発見し、その後、大きく、固くなっていることに気がついた時に総合病院を受診したら、ステージ2の乳がんを告知されました」

すぐに抗がん剤治療や手術、放射線治療を行ったものの、2年後には脳転移も発覚。長引く治療に、体力も気力も、貯金も削られたそうです。

「乳がん発覚時は三大疾病をカバーする保険に入っていたので助かりましたが、脳転移発覚時には一時金をもらえませんでした。正直、病気よりお金の心配が大きかった。でも、使わないと治らないから気持ちを切り替えて高額療養費制度も活用。

周囲にも支えてもらいながら、今も病気とともに生きています。今思うことは、身体の変化を見逃さないこと。なんとなく大丈夫だろうというのは禁物です。乳がんに関しては、40歳超えたらきちんと定期検診を受けてほしいですし、もし親族にがん経験者がいる場合は、30代からでも病院に行ったほうがいいと思います」とアドバイスをくれました。

 “予防できるがん”がある

 “予防できるがん”がある

乳がんのようにセルフチェックや定期検診が早期発見のカギになる一方で、子宮頸がんは、“唯一、予防ができるがん”ということを知っていますか?

子宮頸がんは、発症までに【前がん病変】と呼ばれる段階を経るため、定期的な子宮頸部検診によって早期発見・治療が可能になります。さらに、HPVワクチンの接種をすることで、将来的な罹患リスクを下げることもできます。現在、前がん病変過程で治療中のDさんのお話には、その大切さが見えてきます。

Dさんは、34歳の時に自治体から届く子宮頸がん検診クーポンを利用したことで、軽度異形成が見つかりました。そして、1年4ヶ月という期間で中等度〜高度異形成に進行。

「病変が起きている部分をレーザーで焼くという、レーザー蒸散術を受けました。実は、一度では焼ききれず、もう一回受けています。合計の治療費は通算6〜7万円です。

今も定期的に通院していますが、仕事や日常生活への支障は少なかったものの、がん化の不安や治療の選択には精神的な負担がありました」

Dさんは、同じく子宮頸がんの前がん病変を経験している人からの、「がんになる前に見つかったんだからラッキーだよ!」という言葉が支えになったのだそう。

「その言葉をかけられた当初は、そういうものなのかな……と思う気持ちがありましたが、今ではがんになる前に見つかってよかった思えます。

子宮頸がんは唯一予防できるがんと言われているので、2年に一度の定期検診は受けてほしいです」

定期検診は未来の自分へのプレゼント

定期検診は、日々の忙しさや「自分は大丈夫」という気持ちから、つい後回しになりがちだと思います。けれど、何もない時こそ受けておくことが定期検診の役割です。

病気のリスクをゼロにすることは難しくても、小さな変化に気づけるかどうかで、治療法の選択肢だけではなく、ライフプラインも大きく変わっていきます。定期検診は未来の自分を守るためにあります。自分の身体に向き合うためのアクションのひとつとして、定期検診を前向きな習慣にしてくださいね。

執筆/今泉まいこ

No.00185
2025年9月19日リリース

フェムテックジャパンカレッジ編集部

フェムテックジャパンカレッジ編集部メンバーとなります。