『フェムテックジャパンカレッジ』が聞き手となり、フェムテック領域で活躍する方々との対話をお届けする、対談企画『FJCトークルーム』。
特別編としてお届けしている、立憲民主党に所属する泉健太衆議院議員、宮口はるこ参議院議員、酒井なつみ衆議院議員、おくむら政佳参議院議員の4名との対談後編です。女性の活躍を軸に展開していきました。
仕事だけではなく、家事もする
FJC:女性の健康課題への取り組みは、女性の活躍にもつながっていくかと思います。女性の活躍について、どのように考えていますか?
おくむら議員:女性の社会進出、活躍の方策はいろいろあると思いますが、男性が家事を経験できる機会を創造するという視点は大事だと感じています。
現代は、家事をする男性が増えてきているものの、まだまだその割合は低いと思っています。我が家の場合は共働きですし、僕が保育士というのもあって、家事分担は同じくらい。もしかしたら僕のほうが少し多いくらいなのですが、女性が多い妻の職場では、家事分担に関する愚痴がよく出てくるという話は聞きます。
そもそも男性は、家事をするためのスキルが足りていないところがあると思うんです。スキルがないとできないですし、やっても時間がかかりますよね。なので、例えば、学校でも家事体験ができるカリキュラムを作るなど、家事に触れる機会を増やすことが必要だと考えています。
宮口議員:私自身の体験も含め、出産によって仕事を手放さなければならないこと、自分の体調や育児、介護などの家の事情でキャリアアップをあきらめなくてはいけない女性は、本当にたくさんいると思います。
例えば、私が「更年期の症状がひどいから議員を辞めたいです」と言った場合、仕事を辞めなければいけないと決断するくらい症状が重たくても、他者にはなかなかわからないこと。だからこそ、「重要な役割を担っておきながら、更年期で辞めるのか?」と思われるだけではなく、実際に言われることもあります。そういう意味では、女性が働くこと、活躍することには、まだまだ理解が広がっていないと感じています。
泉議員:私は男性だからというのもあると思いますが、昔の日本では生理を穢れとして捉えていた時代があります。その背景もあって、男性は近寄らないもの、男性には教えないものという風潮は、今もなお根底に残っていると感じることがあります。そういうところをどう乗り越えていくかと考えた時、そのひとつには、家事育児をせず、仕事だけを頑張っている人が評価されることを変えていかなければならないと思います。
酒井議員:女性の活躍を推進する法律として『女性活躍推進法』がありますが、2026年3月までに実現するという計画行動として公表している項目に、生理や更年期に関しても加えることを検討していると聞いています。内容を充実させたうえで、各自治体や企業、さまざまなステークホルダーがその取り組みを実施していくことになりますので、その議論を行う国会での私たちの役割は大きいと思います。しっかりその役割を果たしていきたいです。
やはり教育は重要である
FJC:フェムテックの流れが拡大していく中で、それぞれの立場でやるべきことをやっていくことが大切だと思います。みなさんの立場から、『フェムテックジャパンカレッジ』も含めて、フェムテック領域に関わるステークホルダーに期待していることはありますか?
酒井議員:企業の取り組みの充実を期待しています。働く女性の生理や更年期にまつわること、女性特有のがんも多いので、闘病期間も含めて、取り組んでいく企業が増えることが大切だと思っています。
また、自治体は健康への取り組み計画を立てるうえで、目標に対するアプローチがなかなかうまくいっていないという実情があります。具体的には、骨粗しょう症の検診が自治体の努力義務としてありますが、実施できていないところがほとんどです。厚労省の取り組みでは数値目標として設定されているので、今後は実施する自治体は増えると思いますが、更年期世代以降の骨粗しょう症は問題になっています。そういった側面から見ても、検診をもう少し身近にしていきたいです。
泉議員:僕は教育に期待をしています。フェムテック領域で新たな技術が生み出されてきていますが、一般の人にはまだまだ届いていないところがあると思います。フェムテック製品に関心を持ってもらいながら、正しい知識を得てもらうための取り組みも必要。その下地ができればおのずと製品を知ってもらう機会も増えていくと思うので、学校での教育は重視していきたいです。
宮口議員:私も子供たちに教えることの重要性を感じています。私の出身地の広島県で公立の高等学校に話を聞いたのですが、生理用品を無料で置いているのはまだ2校しかありませんでした。今でも、保健室に行って購入するのが当たり前になっている学校がほとんどです。保健室にあっても購入しなくてはいけない。生理用品はけっこう高いので買えない場合もあることを考慮して、せめて学校では気にせず過ごせるように無料で設置していく必要はあると考えています。
また、フェムテックについてみんなに知ってもらいながら、私たちが生きていく社会がどんな風に変わっていったらいいのかということを話し合っていくことも必要だと思うので、私も生理や更年期にまつわることを恥ずかしがらずに話していこうと思っています。
おくむら議員:性差を知ったうえで、サポートしていくことが大事だと考えています。例えば、更年期に関しても知っていると知らないとでは対応が変わってくると思います。知らないと理不尽だと感じると思いますし、だけど知っていると捉え方が違ってきます。
いろんなところで性差がありますので、それをサポートするためにフェムテックがあり、みんなが活躍できる社会につながっていくと思います。そういう意味でもフェムテックというジャンルがあることを知ってもらう機会を創造することに期待をしています。
FJC:本日はありがとうございました!
取材日:2024年9月上旬
No.00147