生理管理アプリなどを活用して、生理周期を記録していこうとすると、「生理の1日目はいつ?」という疑問が出てくることはありませんか。「本格的に出血した日から?」「トイレットペーパーに経血がつき出した日から?」と、きちんと生理の1日目の数え方を教えてもらったことがないという人もいるのではないでしょうか。
そこで、医療法人財団小畑会 浜田病院理事長であり、産婦人科専門医の山村菜実先生に正式な生理1日目の数え方をはじめ、不正出血かもしれない可能性についても教えていただきます。
生理期間と生理周期の数え方
「生理の数え方には、周期と期間のふたつの視点があります。その両方に関係してくるのが、生理1日目です。
その1日目は、ナプキンを取り替える必要があるくらいの経血量がある日を指します。なので、トイレットペーパーにつくくらいではなく、本格的な出血が始まった日が生理1日目となります。
生理周期も、生理期間も、婦人科検診時に質問されることがありますので、記録しておくと安心です」(山村菜実先生・以下同)
□生理周期
「生理が始まった日から次の生理が始まる前日までを周期として考えます。例えば、6月1日に生理が始まり、次の生理が6月29日に始まった場合は、周期は28日となります。
生理周期は25~38日が正常とされており、個人差があります。そのため、自分自身の周期を把握しておくことが大事です。25日周期よりも早く次の生理が始まることも、38日周期よりも長い場合でも、排卵障害などが起きている可能性がありますので、注意ししてください」
□生理期間
「その月の生理が何日間続いたかを記録するのが生理期間です。例えば、6月1日に生理が始まり、6月5日に終わった場合は、生理期間は5日間になります。
生理期間も個人差はありますが、平均は3~7日間です。平均よりも短い、長い、どちらの場合でも、婦人科系疾患の可能性が考えられますので、自分の生理期間を記録しておくと安心です」
生理と不正出血の違い
「生理周期、生理期間を把握することは、自分のリズムを知ることにつながります。そのため、不正出血にも気がつきやすくなります。
不正出血とは、生理のタイミングではない時期に出血がある場合を指します。おりものに少し血が混ざったような茶色っぽいこともあれば、生理のようにしっかりと出血する場合もあります。生理による出血と不正出血の違いを知っておくことも大切です」
□生理による出血
・25~38日周期で規則的に起こる
・出血は3~7日間
・出血量は多い日と少ない日がある
・鮮やかな赤色、深い赤色、終わりかけは茶色っぽいことも
・腹痛や腰痛、倦怠感が起こる場合がある
□不正出血
・生理周期に関係なく、突然起こる
・1日で終わることもあれば、何日も続く場合がある
・少量から多量と定まらない
・茶色っぽい、ピンク色、鮮やかな赤色などさまざま
・痛みがない場合もありますが、腹痛が起こる可能性も
不正出血が起こる5つの原因
1.ホルモンバランスの崩れ
「ストレスフルや睡眠不足などの生活習慣の乱れが続くと、ホルモンバランスが崩れるこことがあります。そのため、排卵や生理のリズムの乱れにつながり、不正出血が起こるこ場合も」
2.婦人科系の病気の可能性
「不正出血はさまざまな婦人科系の病気との関連が考えられます。子宮頸がん、子宮体癌、子宮筋腫、子宮内膜症などの子宮の病気。さらには、腟炎などの感染症の可能性も考慮する必要があります」
3.妊娠にまつわる事柄
「妊娠初期には少量の出血が起こる場合もありますし、子宮外妊娠や流産の可能性も考えられます。妊娠がわかっている場合はもちろんですが、妊娠を自覚していない場合でも起こりうることなので、早めの受診をおすすめします」
4.ピルの影響
「ピルを服用している場合は、服用初期や飲み忘れた場合に不正出血が起こることがあります」
5.更年期の症状のひとつ
「女性ホルモンの分泌バランスが変動したことによって、生理周期が不規則になることで出血が起きたり、続いたりすることがあります」
婦人科を受診する判断ポイント
「不正出血は年齢、世代に関わらず起きる可能性があります。いつもと違う、なんか気になると感じる、不安感がある場合は、婦人科を受診してください。定期検診の際に、医師に質問するのもいいと思います。
もし、受診するべきか悩んだ時は、下記の項目を参考にしてください。リストに複数チェックが入る場合は、婦人科の受診をおすすめします」
不正出血のチェックリスト
□生理期間ではない時に出血がある
□出血が2~3日以上続く
□出血量が多い
□鮮やかな血の色をしている
□腹痛がある
□発熱している
□性行為の後に出血する
執筆/木川誠子
No.00172
2025年6月13日リリース