ウェルネス・疾患ケア

3名の医師に聞く!ヘルスリテラシーとの向き合い方

フェムテック領域では、「ヘルスリテラシーが必要」という声がよく聞かれます。ヘルスリテラシーとは何か、なぜ必要なのか、3名の医師の話を交えながらヘルスリテラシーとの向き合い方をお伝えします。

ヘルスリテラシーはひとりひとりが考えること

WHO(世界保健機関)によると、ヘルスリテラシーは、“認知面や社会生活上のスキルを意味し、これにより健康増進や維持に必要な情報にアクセスし、理解し、利用していくための個人の意欲や能力”と定義づけられています。

また、日本の厚生労働省では、“健康や医療に関する正しい情報を入手し、理解して活用する能力のこと”とされています。

ポイントは、女性の健康課題も含めて自分自身の心身の健康について考え、たくさんの情報の中から最適なものを見極めて取り入れること。

最適な情報や必要な事柄はひとりひとり異なります。そのため、ヘルスリテラシーとは個人に属する能力のなることから、それぞれがしっかりと向き合っていく必要があります。

生活の軸を持ちながら、質の高い情報を得て行動する

ヘルスリテラシー

ヘルスリテラシーについて『フェムテックジャパンカレッジ』でもおなじみの医学博士 浜中聡子先生に伺うと、「ヘルスリテラシーと言っても、なんでも取り入れるべきというものではありません」と教えてくれました。

「その理由は、あらゆる情報に左右されてしまい、自分の生活の軸を見失ってしまっては本末転倒です。自分にとって有益だと思える情報、質の高い情報を得ることが重要。

そのためには、かかりつけ医を見つけること、定期的な健康診断を受けることが大切になってきます。かかりつけ医ができることで自分の身体に変化が起きた時に相談しやすく、病気を早期に発見・治療することが可能になります。定期的な健康診断にも同じことが言えます」(浜中先生)

自分の内側に目を向ける

自分の内側に目を向ける

産婦人科専門医・産業医の山村菜実先生も、「自分にとって最適な選択をしていくことがヘルスリテラシーです」と話します。

「テレビや雑誌などのメディアをはじめ、好きな芸能人・インフルエンサーがおすすめしているアイテム、実践している習慣を真似することがあると思います。ですが、そのインフルエンサーにとってよかったことが、自分にもいいとは限りません。取り入れてみないとわからないこともありますが、その前にセカンドオピニオンの発想を持ってリサーチを行い、選択肢を広げることも必要です。そのうえで自分に適しているのか、今の自分に必要なのかを判断し、選択していきましょう。

そして、自分自身を知らないと判断、選択はできません。今流行っている、この成分がいいらしいといった外側にある情報だけではなく、心身の状態やどんな目的を持ってそのアイテムを使いたいと思っているかなど、自分の内側にある情報に目を向ける必要があります。そのためには客観視しやすいように今日の体調や気持ちの状態を書き出することや、身体から出てくる便や尿、経血などを目視して確認することもヘルスリテラシーを身につけることにつながります」

自分で測定できる指標を持つ

自分で測定できる指標を持つ

もちろん、男性の健康課題においてもヘルスリテラシーは必要です。男性不妊・男性更年期の第一人者として知られる、泌尿器科医の辻村晃先生も、「正しい情報を取捨選択し、その情報を自身の健康を守るために活用することが重要だと考えます。そのうえで自分の身体の変化に関心を持ちましょう。日々の体調変化はもちろん、体重や血圧など、自分で測定できる指標を持つことも大事です」と話します。

「また、インターネットなどで得た健康情報は鵜吞みにせず、情報源の信頼性を確認しましょう。専門家や信頼できる機関が発信している情報か、科学的な根拠に基づいているか、情報が最新のものかなどの視点で見ることをおすすめします。ご自身で判断できない場合は、医師や看護師など専門家に相談することも大切です。

そして、実践しましょう。適切な情報を見極めて使いこなしてこそ、自身の健康の向上につながります。 無理をしない範囲で継続することが重要です」(辻村先生)

ヘルスリテラシーとの向き合い方

浜中先生、山村先生、辻村先生の話からも、ヘルスリテラシーとは正しい知識を得て、今の自分に最適な選択をしながら健康を維持するための行動をすることだということがわかりました。

そして、ヘルスリテラシーの向上につながる行動を重ねながら、自分自身への理解を深め、心身の健康維持につなげていきましょう。

自分に適した情報の見つけ方

□ひとつの情報源だけで判断せず、リサーチを重ねて質の高い情報を得る
□セカンドオピニオン的な発想で選択肢を広げる
□情報源の信頼性を確認する
□自分で判断ができない時は、医師や看護師など専門家に相談する

ヘルスリテラシーの向上につながる行動

□かかりつけ医を見つける
□健康診断・婦人科検診を受ける
□今の自分を知るために体調や気になること、精神状態などを書き出す
□便や尿、経血など、身体から出てくるものを確認する
□体重や血圧など、自分で測定できる指標を持つ

執筆/木川誠子

No.00132

フェムテックジャパンカレッジ編集部

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