ウェルネス・疾患ケア

女性ホルモン専門薬剤師に聞く!女性ホルモンのゆらぎとの向き合い方

25~38日の生理周期にあわせて女性ホルモンの分泌バランスは変動しています。そのため、生理前になるとPMSの症状が現れるなど、女性ホルモンのゆらぎに影響を受けることがあります。では、ゆらぎの影響を最小限にすることは可能なのでしょうか。

女性ホルモン専門薬剤師の岡下真弓さんに、日々の生活の中で意識したいゆらぎ対策について教えてもらいます。

現代人は無意識に我慢している?

現代人は無意識に我慢している?

「現代の女性は働くことが一般化し、仕事でも、プライベートでもタスクが増えています。さらに、物理的な大変さに加えて人間関係などでのストレスを感じる機会も増えたことで、女性ホルモンのゆらぎの影響を受けやすくなったと考えられます。また、ストレスの感じ方は人それぞれなので、現れる不調も一概には言えず、女性の健康課題は多様化しています。

キャパオーバーな状態であっても目の前のタスクをこなすことに必死でSOSが出せない状況になっていたり、自分が我慢していることにも気がついていなかったりする場合もあります。その積み重ねによって、症状は重たくなっていきます。

例えば、生理痛を抱えている場合、『生理痛は自分だけではないから』『病気ではないから』と我慢をして真っ青な顔で薬局やドラッグストアに駆け込んでくる女性を、私自身も多く見てきています。痛みの程度や出方には個人差がありますし、痛みの耐性も人それぞれですが、我慢をすることは症状の悪化につながります」(岡下真弓さん・以下同)

 

やっぱり規則正しい生活は大事

やっぱり規則正しい生活は大事

少しずつ変化しているものの、日本には我慢が美徳とされる風潮が長く続いていたこともあり、自覚していないこともそうですが、我慢することが当たり前と思っている人も多いように思います。

「薬局やドラッグストアに常駐している薬剤師は、薬をお渡しする前にコミュニケーションを取ります。その中で『我慢をしていることはありませんか?』と尋ねる場合があるのですが、『していません』と答える方がほとんどです。女性の健康課題をはじめ、健康維持においては、過度な我慢や頑張りは禁物です。まずは自覚することが大切なので、『我慢しすぎてない?』『頑張りすぎてない?』と自分に問いかけることを、日常生活の中で意識してみてください。

そして、栄養バランスの整った食事、適度な運動、質のいい睡眠といった規則正しい生活も健康の基盤です。それは、女性ホルモンのゆらぎによって現れる症状への対策にも同じことが言えます。不規則な生活をしていたら不健康になるように、女性ホルモンのゆらぎも大きくなっていきます。

今は大丈夫だと思っていても、女性ホルモンは加齢の影響を受けますので、年齢を重ねた未来のことも考えたうえで、今から整えていくという予防の視点を持つことは重要です」

お薬手帳は健康の記録

日々の健康管理という視点では、生理周期や日々の心身の状態を記録することができる管理アプリは有効。さらに薬剤師にとっては、お薬手帳も重要な役割があるそうです。

「お薬手帳は、これまでの薬の服用履歴、これまでかかったことがある病気や現在治療中の病気、アレルギーなど、医療関係者に必要な情報を記載する手帳やアプリのことです。

薬剤師は、処方箋がある場合は処方箋を見ながら生活習慣などを確認します。処方箋がない場合でも薬が必要な理由や健康状態などを尋ねたうえでお渡しします。その際に、お薬手帳が拝見できると、アレルギーの有無や今飲んでいる薬との組み合わせは問題がないかなどの情報をキャッチアップすることができるので、より適した処方内容の提案と生活習慣にまつわるアドバイスが可能になります」

薬剤師は身近な健康相談者

薬剤師は身近な健康相談者

最近は、薬剤師が常駐しているドラッグストアやコンビニが増えてきています。「薬剤師がより身近な存在になっていることで、日々の健康習慣として頼りになる存在になります」と岡下さんは話します。

「薬剤師法にも定められていますが、薬剤師は、薬学の専門家として医薬品の製造・調剤・供給任務を担うことが求められています。そのため、ひとりひとりの健康に向き合い、コミュニケーションを取りながら健康増進に寄与することも業務の一環です。

病院や薬局だけではなく、ドラッグストアやコンビニにも薬剤師が常駐することは、健康相談の窓口が増えたということ。特に女性の健康課題は個人差があることでデータが取れないものが多いからこそ、身近にいる専門家である薬剤師との会話で適した対処が可能になります。

日々の健康維持の支えとして、身近な相談役としてぜひ、薬剤師を頼ってください」

執筆/木川誠子

No.00140

岡下真弓さん

岡下真弓さん女性ホルモン専門薬剤師

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大学薬学部卒業後、大手化粧品会社の研究開発に取り組む。その後、薬剤師として1998年より調剤薬局に勤務。国立病院、労災病院など大型広域行政法人病院前薬局を経て、未病の大切さを伝えていくべきだと気づき、『美養憧(Bi-You-do)』を立ち上げる。現在は、多くのカウンセリング経験を活かし、ホルモンバランスの乱れや、更年期症状に悩む女性に寄り添いながら、中医学とアロマセラピーの考えに基き、自然な歳の重ね方を提案している。