デリケートゾーンのセルフケアを行っていると、小陰唇を触ったり、見たりする機会があり、「色素が濃くなってきたかも」「ヒダの左右差が違うかも」と気づきがあるのではないでしょうか。
小陰唇にまつわることはなかなか相談しにくいことでもあるため、悩みとして抱えやすい事柄。そこで、産婦人科専門医として美容視点を取り入れた施術やアドバイスを行う、干場みなみ先生に小陰唇の基本情報を伺いました。
小陰唇は、臓器ではなく皮膚組織
「小陰唇は、クリトリスから会陰に向かってヒダのように伸びている皮膚組織です。ふっくらとした感触で伸縮性があります。その内側には、尿道口と腟口があります。
主な役割としては、尿道口や腟口を守ることです。外陰部も含め、腟内には常在菌があり、常にうるおっているのですが、腟は外部と接触のある臓器なので、雑菌が繁殖しやすくなります。健やかな状態を維持するために雑菌が侵入しないよう、小陰唇がフタのような役割を担っています。
また、尿が飛び散らないように壁になっている、性交渉の際には男性器を包み込むような働きもあります」(干場先生・以下同)
小陰唇の形やサイズは個人差がある
「小陰唇の大きさや厚み、形などには個人差があり、医学的に定義づけることは難しいです。もともと左右差がある場合や輪郭がギザギザしているということも。
個人差があることを前提に目安として捉えていただきたいのですが、大陰唇と小陰唇のキワのあたりから、0~2cm以内は一般的なサイズです。小陰唇のサイズを測ることはなかなかないと思いますが、足を閉じた時に大陰唇の膨らみからはみ出さないくらいの大きさになります。わずかにはみ出している程度なら一般的。それよりも大きい場合もありますが、日常生活の中で気にならなければ問題ありません」
近年は美容整形が身近になっていることで、小陰唇縮小や形成への関心も高まっています。相談対象になるのはどのような場合でしょうか。
「小陰唇の印象は主観が大きいのですが、例えば、自転車に乗っている時に痛みがある、日常生活を送る中で引っかかりを感じるなど気になることがある場合は、小陰唇縮小や小陰唇形成を行っているクリニックに相談してみるのも選択肢です。また、左右差が気になる、大きいと感じているから小さくしたいなどの場合でも相談対象になります。
ただ、先ほどもお伝えしたように小陰唇には雑菌から守る役割があるため、小さくしてしまうと守れなくなる可能性もあります。一度小さくした小陰唇を元に戻すことはできませんので、小さくしたいと考えている場合は、専門医に相談したうえで慎重に判断しましょう」
色素沈着の対策には選択肢がある
さらに、小陰唇を含め外陰部は色素沈着も悩みになりやすい事柄です。セルフケアを行なうことは有効なのでしょうか。
「色素に関しても、個人差があります。本来よりも濃くなってきた場合は、加齢や生活習慣の影響を受けていると言えますし、サイズが大きければ大きいほど色素は沈着しやすくなります。例えば、鼠径部は下着が擦れやすい部位ですが、擦れが積み重なると黒ずんできます。小陰唇にも同じことが言えます。
対策としては、擦れなどの刺激を極力与えないことと乾燥を防ぐことです。Tバックなどの下着やタイトなシルエットのボトムは日常的ではなく、限定的に取り入れることで擦れを軽減できますし、デリケートゾーン用のケアアイテムを用いて保湿を行なうことも対策になります。
また、顔のシミをケアするための塗り薬の中には、小陰唇に使用できるものもあるので、処方薬も選択肢のひとつです。もっと本格的にケアをしたいという場合はクリニックでのレーザー治療という選択もあります」
自分の形・サイズ・色を知るところから
干場先生の話にもあったように、小陰唇は個人差があります。そのため、自分の形・サイズ・色を知ることが第一歩。そのうえで気になることがある場合は、正しい知識と情報を得て、セルフケアを取り入れたり、専門機関に相談したりしましょう。
そして、施術を選択肢にする場合は、「なんとなく気になるから」ではなく、「左右差が気になるから揃えたい」「色素沈着を改善したい」など、しっかりと目的を持っておくことが重要です。そのためには自分の目的に真摯に向き合ってくれる先生との出会いも大事になりますので、納得できる選択ができるように、自分と向き合ながらしっかりとリサーチを重ねてください。
執筆/木川誠子
No.00134