セクシャルウェルネス

フランスのセクシャルウェルネスはどんな感じ?プレジャートイブランドの挑戦【知識とともに楽しむフェムケア vol.2】

女性の健康課題にまつわるナレッジを届けている『フェムテックジャパンカレッジ』と、10年以上の取材による知見と3000個以上のフェムケア製品を試した経験を活かしてフェムケアコンシェルジュとして活動している木川誠子がタッグを組んだ『知識とともに楽しむフェムケア』企画。知識や情報を得ることはフェムケアを楽しむことにつながると考え、プロダクトの背景にフォーカスを当てます。

第2回目は、フランスのセクシャルウェルネスブランド『Puissante(ピュイサント)』のプロダクト背景とともに、フランスのセクシャルウェルネス事情もお届けします。

1980年代から女性の健康課題には取り組んでいた

フェムケア

フランスという国にどんな印象を持っていますか?各国の男女格差を【経済・教育・健康・政治】の4分野で評価している『Global Gender Gap Report 2023(ジェンダーギャップ指数)』から見てみると、フランスは40位。日本は145ヶ国中125位なので、日本と比べても男女の格差は小さいです。

また、フェムテック領域で見ても、1980年代から『ペリネリハビリステーション』が存在しており、腟トレ先進国と言われています。ペリネとは骨盤底筋群を含む骨盤底全体のことで、産後ケアのひとつとしてペリネリハビリが保険適用されています。デリケートゾーンのケアアイテムを展開するブランドも1980年代には誕生しており、フェムテックという言葉が生まれる前から女性の健康課題に取り組んでいます。

ジャンネさん

ですが、フランスのセクシャルウェルネスブランド『ピュイサント』アジアマーケットを担当するジャンネさんは、「フランスでも女性のセクシャリティはタブー視されています」と話します。

「男性優位の社会構造があり、女性が役職を得ることはまだまだ難しく、給与面でも格差があります。セクシャリティに対しても、話題にすると“積極的な人”という印象を持たれ、保守的と二極化で判断されることも珍しくありません」(ジャンネさん)

性についての教育はもっともっと必要

ピュイサント

そのような社会背景がある中で、『ピュイサント』は2021年に誕生しました。創設者のマリーさんをはじめ、工学部出身の女性たちを中心に手掛けられています。

フランスはさまざまな女性の健康課題に取り組んでいるものの、実は、プレジャートイブランドは珍しいです。だからなのか、ジャンネさんも「セクシャリティに関しての教育が不十分だと感じています」と話していました。また、創設者のマリーさんが、投資家の前でピッチ(短いプレゼンテーション)を行うフランス国内の番組に出演した際、投資家から失笑されるシーンがあったのだとか。

それでも、その番組を見た別の投資家から嬉しいオファーが届いたり、フランス国営放送に『ピュイサント』のプレジャートイが登場する快挙を成し遂げたり、少しずつでも確実に変化を感じているようです。

自信を持ってセクシャリティを楽しもう

Coco(問い合わせ/ラブピースクラブ
>>>製品スペックはこちらから

『ピュイサント』の始まりは、フランスのクラウドファンディングのプラットフォームである『ulule』で大成功を収め、ファーストアイテムとして『Coco』が製品化されたことから。その経緯を見ても、『ピュイサント』の世界観に共鳴している女性は多いことがわかります。

『Coco』は、振動と吸引を兼ね備えている2in1タイプのプレジャートイ。女性のオーガズムの得方には大きく2タイプあり、いわゆる“外イキ”が約8割、“中イキ”が約2割と言われています。そのどちらかではなく、どちらのタイプも楽しめるようと考えられて開発されました。

Coco

しかも、医療用シリコン製の本体はCのように曲げて使用することができ、振動と吸引を同時に楽しめる構造になっています。まさに、工学部出身者の知恵と技術によるもの。

割礼はフランスの社会問題!?

割礼はフランスの社会問題!?

ブランド名の『ピュイサント』は、パワフルという意味を持つフランス語。 “これまでタブーとされていた女性の性のプレジャーを、自信を持って楽しむこと”をブランドメッセージとして掲げており、すべての女性のプレジャーとセクシャルウェルネスを大切にしています。

そのため、プロダクトの開発にとどまらず、性教育や性暴力根絶のための支援活動にも取り組んでいるほか、1回の注文につき1ユーロを女性器切除に反対する団体『Orchidees Rouge』へ寄付しています。

割礼(かつれい)と言われる女性器切除は、文化や信仰によって習慣となっていた歴史がありますが、フランスでも社会問題のひとつになっているそうです。フランスは、総人口の約10%が移民と言われており、さまざまなバックグラウンドを持つ人々が暮らしています。その中には割礼が習慣として残る国の出身者も。割礼は女性の人権に関わることであり、割礼によって感染症のリスクが高まることから、社会問題として国が取り組んでいるそうです。

自分自身の性と喜びに向き合おう

一概にセルフプレジャートイブランドといってもその誕生背景はさまざまですが、根底にあるのはセクシャルウェルネスです。性の健康と言われるセクシャルウェルネスは、“性に対し、身体的、感情的、精神的、社会的に健康な状態であること”とWHO(世界保健機関)が定義しているように、まずは自分自身の性とプレジャーに向き合い、理解を深めることが大切です。

そして、プレジャートイを通して自分の心地いい、気持ちいい状態を探究することも楽しんでみてください。その際に『ピュイサント』のプロダクトを選ぶことで、間接的ではありますが社会問題の解決に関わることができ、自分の選択に自信が持てるのではないでしょうか。その行動も、セクシャリティとの向き合い方だと思います。

 

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フェムケアコンシェルジュ 木川誠子さん

出版社勤務を経て2009年よりライター・エディターのフリーランスとして活動。ウェルネスや美容、ライフスタイルのコンテンツを発案し、ディレクションから執筆まで一貫して携わる。2016年から兼ねてより関心のあったフェムテック領域に本格的に取り組み始め、フェムケアをはじめ、五感を通して自分を知るための”フェムアートプロジェクト”を立ち上げる。2022年には『株式会社k company』を設立し、その実践の場を創造・提供。また、10年以上の取材による知見と3000個以上のフェムケア製品を試した経験を活かして、フェムケアコンシェルジュとして、独自の発信を行っている。『フェムテックジャパンカレッジ』の記事制作ディレクターでもある。