セクシャルウェルネス

男性の生殖機能の名称とその役割。図解で分かりやすく説明

フェムテックのカテゴリーである【妊娠・不妊・妊孕性(にんようせい)】には、女性、男性の生殖機能が関係しています。自分自身の身体にある臓器などを学ぶことは自分を知ることにつながるように、自分と異なる性について学ぶことはパートナーを理解することにつながっていきます。

そこで今回は、男性不妊・男性の更年期の第一人者である順天堂大学医学部附属浦安病院泌尿器科 教授 辻村晃先生にお話を伺い、男性ホルモンや男性の生殖機能についてお届けします。

男性ホルモンも加齢とともに低下する

男性の生殖機能の名称とその役割

女性ホルモンと言われるエストロゲンとプロゲステロンは、生理周期にあわせて分泌バランスが変化しています。生理期間が終わると分泌量が増えるエストロゲンは、肌にうるおいを与えてくれ、気持ちの面でも安定させてくれる嬉しい作用をもたらしてくれるとされていますが、30歳以降は分泌量が減っていきます。男性ホルモンであるテストステロンもエストロゲンと同様に、加齢の影響を受けるようです。

「男性の生殖機能はテストステロンの影響を受けていますが、20歳をピークに分泌量は減っていくことがわかっています。そのため、勃起力や維持力といった男性力に変化が現れ、そもそも性欲が湧かなくなる可能性もあります。さらには、筋力の低下やだるさといった身体の不調、やる気が出ないなどの精神的な不調が起こる場合も。

これらは、近年聞かれるようになってきた男性更年期の症状でもあり、テストステロンを必要としていた臓器が正常に機能しなくなったことで現れてきます」(辻村晃先生・以下同)

 

男性ホルモンの影響を受ける生殖臓器

それでは、テストステロンが作られる臓器を含め、男性の生殖機能について学んでいきましょう。

男性の生殖機能は、精子の形成、勃起、射精といった機能的なことから、性欲なども含め、妊娠に必要な事柄を指します。図の中から、生殖機能として重要な臓器の名称と役割をお届けします。
男性ホルモンの影響を受ける生殖臓器

Ductus Deferens/精管

「直径や約3mm、長さは約40cmと細長い管である精管は、膀胱の背部にある精嚢(せいのう)へとつながっています。精巣上体に貯えられた精子を尿道まで運ぶ機能があります」

Penis/陰茎(いんかく)

「陰核は、下腹部の構造と恥骨につながっている陰核根と体外から見える陰核体、亀頭(Glans Penis)で構成されます。

性的興奮などによって海綿体に血液が流れ込むと、勃起して腟への挿入と射精を可能にします」

Testis/精巣

「いわゆる男性の生殖器と言われる臓器で、陰嚢(いんのう)の中にあります。一般的な大きさは4~7cmほどで、卵型をしていています。

テストステロンを分泌する、精子をつくり生殖を可能にするといった重要な役割があります」

Ejaculatory Duct/射精管

「射精時に精液が通過する管が射精管です。射精時、精管から射精管を通って尿道まで運ばれます」

Seminal Vesicle/精嚢(せいのう)

「精子を一時的に貯蔵する場所であり、射精時に精子を尿道へ送り出す役割もしています。

射精時に排出される精液は、精巣で作られた精子と前立腺や精嚢からの分泌物が混ざったものです」

Bulbourethral Gland/尿道球腺(にょうどうきゅうせん)

「性的興奮時に弱アルカリ性の粘液を分泌しており、尿道・腟のアルカリ化や性交時の潤滑剤として働くと考えられています。

外科医のウィリアム・カウパーによって発見されたことから、カウパー腺とも言われています」

Urethra/尿道

「精液は、精巣から尿道を通り、陰茎の先端の尿道口から放出されます。また、尿を排出するための役割も担っています」

Epididymis/精巣上体(せいそうじょうたい)

「陰嚢の中、精巣の外側に付随している組織です。

精巣でつくられた精子は精巣上体に集められ、成熟させることで受精するための能力を与えられます。成熟した精子は射精までここで貯蔵されます」

Scrotum/陰嚢(いんのう)

「陰嚢には、陰部の嚢(ふくろ)という意味があります。

陰茎の付け根付近にあり、ひだのある皮膚で精巣を包み、温度調節を行う働きをしています」

正しい知識を得ながら向き合おう

自分自身はもちろんですが、パートナーの身体にある生殖機能はふたりの将来に関わってくることでもあるため、興味や関心を持つことは一般的です。正しい知識を身につけながら、向き合ってみてください。

 

執筆/木川誠子

No.00130

辻村晃先生

辻村晃先生泌尿器科医/順天堂大学医学部附属 浦安病院 泌尿器科 教授

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日本においての男性不妊、男性更年期症状の第一人者として知られ、数少ない男性医学と不妊治療両方のエキスパートであり、不妊に悩む多くの夫婦を助けている。生殖学、性機能障害の治療に注力する『日本生殖医学会』の認定専門医でもある。