ウェルネス・疾患ケア

2ステップでできる鍛え方!ライフステージで見る、骨盤底筋群の必要性

近年では、骨盤底筋群という言葉を目にする機会が増えてきました。骨盤底筋群は、骨盤の底にある複数の膜のような筋肉を指します。子宮や膀胱、腸などの臓器を支えていますが、日常生活の中では動かす機会が少ない筋肉のため、意識して鍛えることが重要です。また、ライフステージによって骨盤底筋群の役割が異なってきます。

今回は、国家資格を保有する鍼灸師である栗本夏帆先生に、ライフステージで考える骨盤底筋群について、今すぐ始められる簡単な鍛え方などを教えていただきました。

骨盤底筋群は健康維持のために鍛える

骨盤底筋群は健康維持のために鍛える

「筋力は20代がピークと言われているため、筋肉のひとつである骨盤底筋群は加齢に比例して衰えていきます。また、年齢にかかわらず、過度なダイエットや運動不足などによっても、骨盤底筋群は衰えていく可能性があります。

骨盤底筋群は背骨の筋肉ともつながっているため姿勢をはじめ、排尿や排便などの機能にも影響しています。そのため、衰えてしまうと、太りやすくなる、お尻の位置が下がるなどの体型に影響を及ぼし、尿モレなどの物理的な不調も起きてしまいます。骨盤底筋群を鍛える習慣は健康維持の視点で、全世代が取り入れたほうがいいことです」(栗本夏帆先生・以下同)

骨盤底筋群を鍛えるタイミング

●興味が出た時

「いつからでも鍛えてほしいですが、もっとも始めやすいのは骨盤底筋群への興味が出てきた時です。興味がないと続けることが難しくなるため、気持ちが出てきた時にぜひ行動してみてください」

●尿モレが起きた時

「以前は、出産後に起きやすいと言われていましたが、出産経験がない場合でも、筋力不足が要因となって尿モレが起きることがあります。くしゃみをした時やトイレを我慢するのが難しくなった時など、尿モレが起きた場合は骨盤底筋群が衰えていることが考えられますので、鍛えるタイミングです」

●お風呂のお湯が出てきた時

「湯船から出ようと立ち上がった時やタオルドライをしている時など、腟のあたりからお湯が出てくるのを感じたことはありませんか?その場合は、腟内にお湯が入っている可能性があります。尿モレと同様に骨盤底筋群が衰えているかもしれません」

●足を揃えてしゃがみ、立ち上がれない時

「骨盤底筋群の衰えを手軽にチェックができる方法です。足を閉じた状態でまっすぐ立ちます。そのままお尻を床につけずにしゃがみ、その状態から立ち上がってみてください。バランスを崩す、立ち上がれない場合は要注意です!定期的にこの動作で確認してみましょう」

ライフステージで見る、骨盤底筋群の役割

ライフステージで見る、骨盤底筋群の役割

■20代までは筋力の低下を予防する

「尿モレなどは起きにくい世代ではありますが、過度なダイエットや運動不足によって骨盤底筋群が衰える可能性はあります。

また、この先、妊娠や出産のライフプランを予定している場合は、今からでも鍛える習慣を身につけておくほうがベターです」

■30代は労わり期間

「引き続き、運動習慣は身につけていただきたいですが、現代女性は30代で出産を経験する割合が高いです。そのため、出産後の尿モレを経験するのもこの時期かもしれません。ですが、妊娠・出産で骨盤底筋群はダメージを受けていますので、修復を意識しましょう。運動の再開は、心身の調子が整ってから」

■40代は筋力を蓄えよう

「プレ更年期~更年期にあたる40代は、筋力を蓄える意識が大切です。骨盤底筋群をはじめ、全身の筋力を刺激するトレーニングを行いましょう。

トレーニングは続けることが重要ですので、自分の性格や生活習慣にあわせて、ストレスなく続けられる方法で実践してください」

■50代以降は筋力の維持が重要

「閉経を迎えると筋力が一気に低下していきます。今ある筋力を維持することを意識して、無理のない範囲でトレーニングは継続しましょう」

腟口を締める感覚を覚えよう

腟口を締める感覚を覚えよう

では、どのように骨盤底筋群を鍛えていくのがいいのでしょうか?栗本先生は、「骨盤底筋群を効果的に鍛えるためには、腟口を締める感覚を知っておくことが重要です」と教えてくれました。そして、その感覚を知ることにつながる、2ステップで行える方法も伝授いただきます。

STEP1.フェイスタオルを筒状にして、その上に座る

「フェイスタオルを用意し、筒状にします。イスの座面の真ん中に縦に置き、お尻の中心に来るようにその上に座ります」

STEP2.フェイスタオルを挟んで持ち上げる

「フェイスタオルを挟む込むように、お尻から腟まわりを内側に締めて持ち上げます。この動作が腟口を締めている動きになります。定期的に行って、その感覚を覚えていきましょう」

執筆/木川誠子

No.00144

栗本夏帆先生

栗本夏帆先生鍼灸師・温活師/netemate鍼灸salon 院長

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国家資格を保有する鍼灸師として活動しながら、『一般社団法人 日本温活協会』の温活士としても活躍。女性限定の膣サロンを立ち上げるなど、勉強会や啓もう活動にも励んでいる。
https://www.netemate.jp/