生理・PMS

『フェムテックジャパンアワード2022』ブロンズ受賞! “性教育をもっと身近に、簡単にすること”をミッションに掲げる『READY BOX』へインタビュー

2022年12月8日に開催された『フェムテックジャパン2022/フェムケアジャパン2022』内で発表された『フェムテックジャパンアワード2022』。多くの投票によって選ばれた受賞ブランドにインタビューを行いました。

一般社団法人『REDAY BOX』は、Bronze(銅賞)を受賞した『はじめの生理BOX』をはじめとするオリジナル製品やワークショップなどを通して、性教育を行っています。どんな想いを持って活動に取り組んでいるのか、代表・三上麗さんにお話を伺いました。

「楽しそう!」と思ってもらえる生理ボックスを作りたかった

READY BOX「はじめての生理準備BOX」

―受賞した『はじめての生理BOX』は、パッケージからわくわくする感じがありますよね。やはり、そういうことは意識して作ったのですか?

私自身、「生理用品の箱がチェック柄だと嬉しいのにな~」と思っていたので、色も雰囲気も明るいほうが子どもたちは関心を持って見てくれるのかな、キャラクターがあることで「なんか楽しそう!」と思ってもらえるのかなと考えました。

まだ立ち上がって日が浅い団体なので、恐縮しているところもありますが、受賞できたのはとても嬉しかったです!

―『はじめての生理BOX』の中に入っているアイテムでもある、『生理ってなに?』という絵本もポップで手に取りやすいですよね。

ありがとうございます!感覚的に「楽しそう!」と思ってもらいたいという想いを持って作りました。

私たちは子どもたちに伝えていきたいと思って活動をしていますが、絵本の場合、ご両親が読み聞かせをしないといけないということもあると思います。ただ、これまでに塾の講師やベビーシッターなどの仕事をしてきて、いろんな家庭を見てきましたのでが、その余裕がない家庭もあることは分かっていました。そういうことも踏まえて、『生理ってなに?』の絵本は小学1年生以上の子どもを対象にしているのですが、読めなくても、「楽しそう!」と手に取ってもらえるように考えました。

性教育のイメージをフラットにしたい

【Bronze】はじめての生理準備BOX 一般社団法人READY BOX

―『READY BOX』の活動を始めようと思ったきっかけを教えてください。

『はじめての生理BOX』を作ったのは、生理についてのことをやりたかったというわけではなく、性教育のイメージがもっと柔らかくなってほしい、恥ずかしいとかではなくてフラットになってほしいと思ったところが始まりです。

私は、高校生の時に性的に嫌な経験をしたことがあります。だから、どちらかというとネガティブな印象を持っていました。「性教育をポジティブに」と言われても、「どうポジティブに?」と思ってしまうんです。

―ポジティブよりもフラットであることが重要だと思うのですが、なかなか難しいことでもありますよね。

本当にそうなんです。「フラットになるにはどうしたらいいのか……」ということを考えた時に、マイナスをゼロにすることをやらなくてはいけないと思いました。

年齢を重ねていくと性の話は分かってくると思うのですが、小学4年生に向けて生理の授業をした時に、先生はどこか恥ずかしそうだし、隠す感じもありました。ということは、その後に派生する避妊の話なんて話せないという、ネガティブな雰囲気。でも、生理に関することが性教育の入口という現状があるので、生理についての活動を行うことで、子どもたちが性に対してフラットに受け止めてもらいやすい状況を作ることにつながるのかなと考えています。

また、いきなり性的同意と言われても、親や先生が「?」という感じになりますが、生理の教育は誰もが大事だということは分かっているから、私たちが伝えていきたいことの入口として、という意味合いもあります。

―伝えていきたいこととは具体的にどんなことですか?

性被害、性加害がなくなってほしいと思っています。だからこそ、プライベートゾーンや性的同意、自分の境界線の話などをしてきたいのですが、これらのことを知っている大人はなかなか少ないと思ったんです。そのことを考えると、大人たちも知っている生理のことから始めて、少しずつ知識や理解を深めてもらって、本来やりたいことにつなげていきたいと思っています。

―題材が題材なだけにいろんな意見が届くかと思うのですが、くじけそうになることや悔しいと思うことはありませんでしたか?

基本、「うまくいかないだろう」と思ってやっているところがあるので、うまくいかなくてくじけることはないです。ただ、キャパオーバーになって「ダメだ……」となることはあります(笑)。でも、辞めたいと思うことはありません。

私たちの活動は、子どもといっても、幼児にフォーカスしているところもあって、「早すぎない?」と言われることが一番多いと思います。そういう時は、「早すぎないです」と返しながらも、その理由もお伝えしています。

以前、大学生から大人向けにYouTubeを通して性被害や性行為の話をしたことがあるのですが、その時はいわゆるアンチ的なコメントはたくさん届きました。ただ、私に対してというより、「女なんて」みたいな、女性全体に対するコメントが多くて、「なんでこんなひどいことが言えるんだろう」と思ったことは覚えています。

―ご自身の体験についても話されているんですね。

はい。YouTubeで話したのは団体を立ち上げる前なのですが、性被害や性病についてなど、「困っているのに、なんでこんなに言いにくい世の中なんだろう」と。そう考えた時に、「話す人が少ないからだ」ということが理由のひとつにあると思いました。言いにくいことだと思わせてしまったら誰も言えなくなってしまうから、私が話すことで仲間意識を持ってくれて、話せる人が増えるかなと考えました。もちろん、無理して話す必要はないとも思っています。

―なるほど。経験を話すことの難しさはありますよね。共感ベースで物事が進んでしまうといいますか……。

そうですね。子どもに向けて活動をしていますが、私は子育てを経験していなので、分からないこともあります。私がお母さんたちに共感しても、お母さんたちはそうではないこともあります。

だからこそ、プロダクトを作る時は常にアンケートを実施して、いろんな人の声を聞くということをしています。いろんな人がいるからこそ1本の道だけを走らないようにしないと、という想いもありますし、自分の考えだけでやっていると迷いも出てきます。

すぐそこに性教育がある社会を目指したい

教育関連機関への後援会の様子

―子ども向けに活動していくうえでは、同時に親の理解も大切になると思います。親側の理解が深まっていない段階だとクレームになることもあると思うのですが……。

今のところクレームはないです。先日もお母さんたちに向けて講演をさせていただきました。「勝手に身体を触らせてはいけない。なぜなら身体は自分のものだから。つまり権利なんです」と。「同意を取りましょう」という話をする時は、「見えない圧力。例えば、上司と部下、先生と生徒という関係では同意が取れる環境ではないですよね」いう話をさせていただきました。

性教育は人権の話でもあります。でも、人権という言葉が難しいと感じる人もいるので、伝え方は考えます。お母さんたちに伝わりやすい、分かりやすい言葉を使って話すことで、「だからパワハラやセクハラがあるんだ」と気づくことができます。

「そもそも知らなかったことに気づいていなくて、でも日々の中で悩んでいた」と。お母さんたちも、心と身体を守ったり、大切にするためには必要な知識だという認識を持ってくれます。

―『READY BOX』として、どんな社会を目指していきたいですか?

最近、そのことについてすごく考えています。先ほどもお話ししたように、フラットな状態と言いますか、誰でも手に届く場所に生理の知識があったり、相談しやすい環境があるという社会にできたらいいなと思っています。イメージしやすい形でお伝えするなら『こどもちゃれんじ』の中に性教育がある感じです。

特に私たちがフォーカスしている世代が幼児なので、公立の施設では届き切らないところが出てくると思うので、民間の学習プログラムで取り扱ってもらえたら、より多くの子どもたちに届いていくのかなと。

そして、私たちは子どもたちがつい手に取ってしまう、興味関心が持てる教材。読み書きにとらわれず、例えば、手で触りながら学べる教材など、さまざまな形の教材を作っていきたいです。

REDAY BOX
https://readybox.jp/

以上、『Femtech Japan Award 2022』でブロンズを受賞した、一般社団法人READY BOX代表・三上麗さんへのインタビューをお届けしました。

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フェムテックジャパンカレッジ編集部

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