生理・PMS

産婦人科医に聞く!生理前に現れるPMSの症状とその対策法

生理前に気分が落ち込みやすい、お腹やバストのハリが気になる……。そうかと思えば、生理が始まると気にならなくなるという経験はありませんか?

それは、いわゆるPMS(月経前症候群)です。近年、さまざまなところで目にする機会が増えているPMSについて理解を深めるために、『クレアージュ東京 レディースドッククリニック』婦人科顧問の大島乃里子先生に教えていただきました。

PMSの原因と代表的な症状

PMSの症状とその対策法

「PMSを呼ばれる月経前症候群は、生理前に気になる症状が出てきて、生理が始まったら改善していきます。ポイントは、生理前になると周期的に現れて、生理が始まると治まることです。生理前と言うのは、生理開始予定日の約7~10日前を指します。

症状としてよく見られるのは、情緒の不安定、身体のむくみ、乳房の張り、頭痛、眠気、便秘などです。身体と心の両方に現れます。

PMSの症状は、月経前“症候群”と言われているように、一連の症状がまとまって現れることを指します。そのため要因も複合的です。要因のひとつとして挙げられるのは、女性ホルモンのバランスの変化です。

生理前は身体が黄体期に入り、黄体ホルモンと呼ばれるプロゲステロンの分泌が増えます。プロゲステロンは体内に水を溜める作用があることから、むくみやすくなり、その影響で関節が痛む、また頭痛が伴う場合もあります。また、幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンが少なくなるとも言われているので、気分の不調が出てくる可能性もあります」(大島乃里子先生・以下同)

20~30代はPMSの症状が出やすい

20~30代は症状が出やすい

「PMSの症状の有無や程度には個人差がありますが、20~30代は出やすい傾向にあります。その理由として考えられるのは、女性ホルモンの変動が周期的になり、生理周期が安定してくるうえ、ライフステージに変化が起きやすい世代だからです。また、更年期に近づいてくると悪化しやすいとされています。

ただ、PMSの症状を更年期の症状だと勘違いしているケースもありますし、10代の場合は生理周期が整っていないこともあり、PMSではなく、思春期特有の症状の可能性も考えられます。

繰り返しになりますが、生理前になると現れて、生理が始まると治まるという周期性がある場合がPMSです。まずは、自身の生理周期を認識することから始めてみてください」

PMSの症状を記録してみよう

「生理周期や現れる症状について、自分自身で認識することが大切です。そのためには、月経周期を記録するところから。そして、どのタイミングでどんな症状が出たかも記録することで、傾向がわかるようになります。

例えば、「なんかイライラする」と思った時に、その記録を見て、「あ、生理前だからか!」と思うと、自分で納得することができるのではないでしょうか。そうすると、ゆっくり過ごそうと対処がしやすくなると思います」

生理前を快適に過ごすための3つのヒント

快適に過ごす3つのヒント

大島先生に教えていただいた、生理前を快適に過ごす3つの方法を参考にしながら、自分が心地よく過ごせるように意識してみてください。

1.規則正しい生活を意識する

「質の良い睡眠、バランスのいい食事など、規則正しい生活習慣は重要です。また、アルコールやタバコは控えましょう。

生理前は、チョコレートなど甘いものを欲しがちですが、思いのまま食べてしまうと血糖値の急上昇や頭痛がひどくなる可能性がありますので気を付けてください」

2.適度に身体を動かす

「生理前は女性ホルモンのプロゲステロンの影響で、むくみやすくなります。その対処として、ヨガなどの適度な運動がおすすめです。筋肉を動かすことで全身の巡りがよくなり、むくみの軽減につながります」

3.ストレスを溜めないようにする

「ストレスはPMSの症状悪化につながります。自分なりのセルフメディケーションやリラックス方法でストレスが溜まらないように心掛けましょう」

症状がひどい時は専門機関を受診する

「PMSは複合的な要因で起こるため、対処法がひとりひとり異なります。体調管理アプリなどを活用して、生理周期や症状を記録することで、自分に合った対処法を見つけやすくなります。
また、PMSの症状に悩んでいるという人の中には、うつなどの精神疾患の可能性もありますので、気になる症状がある、症状が重いと感じる場合はそのままにはせず、まずは産婦人科やレディースクリニックを受診してみてください。もし精神疾患の可能性があると判断した場合は、心療内科などのしかるべき機関をお伝えします」

執筆/今泉まいこ

No.00109

大島乃里子先生

大島乃里子先生産婦人科医/クレアージュ東京 レディースドッククリニック 婦人科顧問

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日本産科婦人科学会専門医、日本婦人科腫瘍学会専門医、医学博士。東京医科歯科大学病院 周産・女性診療科 講師。婦人科腫瘍のほか女性医学の専門医でもあり、思春期から老年期までの女性の生涯におけるヘルスケアを担っている。
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