セクシャルウェルネス(性の健康)の考えが浸透し始め、セルフプレジャーの重要性も知られるようになってきました。では、セルフプレジャーとセクシャルウェルネスはどのように関係しているのでしょうか。
役割、メリットとデメリット、正しいやり方など、セルフプレジャーが心身の健康のためになる理由を、日本初となる性交痛外来を設立した『富永ペインクリニック』院長 富永喜代先生に教えていただきました。
セルフプレジャーの役割とメリット
「セルフプレジャーには大きく分けて、生理学的な役割と心理学的な役割があります。
生理学的な役割には、身体の健康にいい影響を与えることです。セルフプレジャーでオーガズムに達すると、ドーパミンやβエンドルフィン、オキシトシンなどの神経物質が分泌されます。また、副交感神経が優位になることと、βエンドルフィンの鎮静作用によって睡眠の促進という効果も期待できます。
また、性器に血流が巡ることで、女性は柔軟性とうるおいを保つことにつながり、性交時に痛みを感じにくくなりますし、男性は勃起力の強化などの性機能の維持に寄与するという役割があります。
生器は加齢の影響を受けますので、性行為をしていない状態が続いてしまいますと、いざその時を迎えた時に性交痛や勃起不全などが起こりやすくなります。そういった視点からもセルフプレジャーは有効です。
一方、心理学的な役割としては、ストレスや不安の緩和、自己肯定感を高めるなどの要素があります。性的な快感を覚えることで、オキシトシンなどの幸せホルモンが分泌されるため、不安を和らげ、ストレスを緩和させる効果があります。そして、セルフプレジャーは自分を知る行為でもあります。自分が気持ちいいと感じることを理解して追求することは、オーガズムを得やすくすることにもつながりますし、性に対しても肯定的な気持ちが生まれてきます。特に女性にとっては、自己肯定感と安心感を育む側面が大きいと言えるでしょう」(富永先生・以下同)
セルフプレジャーのデメリット
「セルフプレジャーのデメリットは、男性側に多く存在しています。よく言われているのは、間違ったやり方や過剰な方法は実際の性行為、さらには男性不妊につながります。
具体的には、強すぎるグリップや、いわゆる床オナニーのような非現実的な方法です。そのようなセルフプレジャーに慣れてしまうと、女性の腟圧ではオーガズムを得にくくなる、もしくは遅漏になってしまうリスクがあります。それは、パートナーに大きな負担となりますし、パートナーシップにおいても変化が生じてしまいます。
もうひとつの大きなデメリットとして考えられるのは、ポルノ依存です。脳は常に新しい刺激を求める性質があります。インターネットとスマートフォンの普及によって好きな時に好きなだけ視聴できる現状は、ポルノ依存になる可能性が高いと言えます。興奮時に分泌されるドーパミンの影響からも、強い刺激に慣れてしまうのは危険です。
女性におけるデメリットはほとんどありません。例えば、オーガズムを得ようとプレジャートイを力まかせに押しあててしまうなど、やり方によっては痛みが出ることがあるかもしれません。トイを使うにしても、自分の手を使うにしても清潔な状態で行うことを意識すれば、問題ありません」
痛みという視点からもセルフプレジャーは有効
「セルフプレジャーを鎮痛・鎮静作用も期待できます。脳が快感を得ることでβエンドルフィンというホルモンが分泌されるからです。βエンドルフィンには鎮痛・鎮静作用があるため、PMSの症状や生理痛といった生理期間に感じる不快感を和らげる効果があります。
さらに、女性は不安や緊張を感じやすいものです。精神状態は痛みの感じ方に影響するため、セルフプレジャーによって分泌されるオキシトシンなどの幸せホルモン効果も大きなメリットです」
【痛みの専門家が解説!性交痛にはさまざまな要因が絡み合っている】
セルフプレジャーを楽しむには
セルフプレジャーを実践したいけれど、やり方がわからない、気持ちよさがわからない。なかには、痛みを感じるというケースもあると思います。痛みや不快感なく、セルフプレジャーを楽しむためにはどんなことを意識するのがいいでしょうか。
「セルフプレジャーの準備とも言えるのが、デリケートゾーンのケアです。日頃から専用ソープで洗浄し、専用オイルで保湿。腟口や会陰をマッサージすることもおすすめです。デリケートゾーンのうるおいを保つことは、痛みを起きにくくするという点においても大切です。
セルフプレジャーを行う際は姿勢(ポーズ)を意識しましょう。骨盤底筋が緊張していると痛みを感じやすくなりますので、緩ませる姿勢が大事。具体的には、膝立ち、仰向けの状態で膝を立てる、横向きになるなどがありますので、いくつか試してみて、楽だと感じる姿勢を探してください。
プレジャートイを使っている場合は、アイテムの見直しても有効です。一概にトイといっても、素材やサイズ、形など、さまざまです。大きすぎる、色合いや形状がグロテスクなどと感じる場合は、痛みや不快感につながります。トイを見直したうえで、使用する際は潤滑剤をたっぷりと!適量だと思うより、ずっと多く使ってみてください。肌との摩擦を緩和につながります」
セルフプレジャーを正しく理解して楽しむことで、心身の健康につながります。自分にあったスタイルで楽しんでいきたいですね。
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執筆/瀬戸ゆずき
No.00176
2025年7月11日リリース