2022年12月8日に開催された『フェムテックジャパン2022/フェムケアジャパン2022』内で発表された『フェムテックジャパンアワード2022』。多くの投票によって選ばれた受賞ブランドにインタビューを行いました。
今回は、特別賞を受賞した『ナチュラムーン』の登場です。ブランド担当の平田真子さんにブランド誕生の背景やこれからのことなどをお話しいただきました。
『ナチュラムーン』は求める声の高まりで誕生
―『ナチュラムーン』は10周年とのことですが、誕生当時はまだまだナチュラルタイプの生理用品が少なかったと思います。だからこそ、『ナチュラムーン』の誕生によって、ナチュラルタイプの生理用品が身近になったと感じていますし、今回の特別賞受賞にもつながったように感じています。
ありがとうございます!今回の受賞はとても励みになります。
弊社は問屋事業も行っており、『ナチュラムーン』が誕生する前は布ナプキンの仕入れをしていました。当日は布ナプキンも認知されていなかったので、勉強会を開催していましたが、お客様から「布ナプキンがいいのは分かっているけど、旅行など長時間の外出時には不便」というお声をいただいていました。「紙ナプキンで同じような仕様で作れないか……」と考え始めたことが開発のきっかけでした。
そんな中で、「こういう生理用品が求められています。作りたいです!」と、かなり熱量の高いプレゼンをして、『ナチュラムーン』が誕生しました。
当時は布ナプキンもまだまだハードルが高いアイテムでしたし、ましてやナチュラルタイプの紙ナプキンはほとんど販売されていなかったこともあり、売り場もない状態。市場がないところから始まっているので、勉強会やイベントに出展するなどして、知っていただく機会を作っていきました。
―『ナチュラムーン』は求められている声に応える形で誕生したんですね。
はい。アンケートをとる際に総数を表すN数、例えば、100人にアンケートを実施したらN100になります。そのN1を大切にするというポリシーを持っています。
例えば、『ナチュラムーン』を使ってくださっている方の中には、「肌が弱くてこれしか使えない」という方がいます。そのひとりの声には、もっとたくさんの声が隠れているのではないかと信じているので、困っている方がひとりでもいるならその方を助けるという想いを持って開発を続けています。
―具体的にはどんなこだわりを持って開発されていますか?
まず、吸収材とトップシートを天然素材で作っています。『ナチュラムーン』の生理用品は高分子吸収剤を使っていません。その代わりとして、「どの素材を使うのか?」というのが課題のひとつとしてありました。さまざまな吸収剤を比較検討した結果、最終的にはパルプという木からの吸収剤を採用しています。
ただ、天然素材の吸収材になりますので、ナプキン自体に厚みが出てしまいます。ふわっとした質感ではあるのですが、紙ナプキンは薄型傾向にあるので、社内でもいろんな意見が出ました。でも、発売前にモニターして、いろんな方に試していただき、「このくらいの厚みならいいんじゃない」というところに落ち着きました。
今は、「それが布ナプキンみたいで気持ちいい」といってくださるお客様が多くて、嬉しいです。
―開発を進めていく過程では、否定的なことも含めていろんな意見が出てくると思いますが、どこを軸にして決定していますか?
信念としているところは、やはり素材です。使用する原料は、環境負荷が少ないもの、天然素材成分を使うという点はブレないです。今は生理用品以外のアイテムも増えていますが、肌に直接つける化粧品は天然成分100%しか使わない、ということは決めています。
また、社内モニターもそうですが、普段『ナチュラムーン』をご利用いただいているお客様からそうではない方まで、発売前に試していただきます。そのお声をいただいて商品に反映してから発売するようにしています。
社内外いろんな意見を吸い上げて開発に活かしていく
―社外からも意見をもらっているんですね。そのテスト期間といいますか、モニター期間は毎回設けているのですか?
はい。モニターは社内外含めて、2~3回は行っています。社内ではビジネス視点の意見が出やすいですし、お客様からは使用感や、「この値段だったら私は買いたくない」といった率直な意見が届きます。お客様から「この値段で買いたくない」と言われた場合は、その値段のままで発売することはせず、改善します。
―これまで開発してきた中で印象深かった、開発が難しかったアイテムはありますか?
印象に残っているアイテムは多くあるのですが、開発が難しかったという点では、2022年に発売されていただいた『オーガニックコットン アロマ ボディシート』です。
オーガニックコットンを使っているのですが、そのコットンにもグレードがありますし、香りにもこだわりました。瓶から直接香った時とコットンに含ませた後だと、同じ香りでも印象が変わります。香り以外の成分と融合した時でも変化するので、開発担当者が何度もやり直してくれたこともあって、思い出深いアイテムになっています。
―お客様からの声を大切にされているとのことですが、新製品を考える際にはどのように活かされていますか?
ホームページのお問合せフォームやSNSから、「こんな商品がほしいです」とリクエストいただくことがあります。リクエストが届いたら、社内で行う商品会議で必ず議題にするようにしています。
―フェムテックが拡大していく中で、メンテックという男性の健康課題解決への注目も高まっていますが、今後、男性視点での商品開発はありますか?
実は、そのような声がすでに届いています。デリケートゾーンケアアイテムを発売した際に参加した展示会場で、「このアイテムは男性も使える?」と、数名の男性から質問されました。「男性にも使っていただけます」とお伝えすると、「ただパッケージが……」という反応があったりして……。
確かに、ユニセックスなデザインにしてもいいと思いますし、「『オーガニックコットン吸水パンティライナー』は、男性もけっこう買っていくんですよ」という声もいただきます。男性ニーズがあると感じているので、今後の開発には活かしていきたいと考えています。
快適に過ごせる女性を増やしていく
―普段からいろんな声に耳を傾けているからこそ、相談しやすいというのはありそうですね。
ありがとうございます。やはり、SNSなどでも相談しやすい環境づくりは大切にしていますし、積極的に広げていきたいと思っています。
―『ナチュラムーン』は10周年を迎えたところですが、どんな社会実現を目指していきますか?
弊社が『ナチュラムーン』を通して実現したいことは、製品を使っていただいて、満足していただく。そして、困りごとを解決するということは大前提として、女性のウェルビーイング向上のために活動し、快適に過ごせる女性を増やしていきたいと考えています。
今も行っているセミナー開催は、情報を得ることによって快適に過ごせるようになる女性が増えることにつながりますし、女性活躍支援になると考えています。定期開催しながら、そのセミナー内であがったお悩みは商品開発につなげていきたいです。
また、生理の貧困改善への取り組みも強化したいと考えています。直近の1ヶ月でも数件の問い合わせが届いていますので、『ナチュラムーン』の生理用ナプキンの提供サービスにしっかり取り組んでいきたいです。
ナチュラムーン
https://naturamoon.jp/
以上、『Femtech Japan Award 2022』で特別賞を受賞した、株式会社G-Place『ナチュラムーン』ブランド担当の平田真子さんへのインタビューをお届けしました。
No.00022