フェムテックの流れが拡大するとともに、更年期がライフサイクルのひとつであり、誰にでも起こり得るという認知が広がってきています。それでも、更年期の症状には個人差があり、誰かと共有することが難しいもの。女性の健康情報サービス『ルナルナ』の調査(※)によると、45歳以上の約7割に更年期の自覚症状があり、その約9割が「つらい」と感じていることがわかっています。
一方で、その症状に対して『実際に対処している/対処していた』という人は約1割という結果でした。もしかしたら、対処していない理由の中には『どうしていいかわからない』から何もしていない可能性があると考え、『フェムテックジャパンカレッジ』では更年期症状・更年期障害を経験した3名に症状とその対処法を教えてもらいました。
CASE1:情緒が不安定に?仕事仲間から指摘されて気がついた
A.Yさん 53歳/メーカー勤務
症状:
「私の場合は半年前から急に涙が出てきたり、部下に怒鳴ってしまったり、同僚や後輩からこれまでと違うと指摘されました。そのことがきっかけとなり婦人科の診察を受けてみたところ、女性ホルモンの値が急激に下がっていました。自分では更年期だとまったく思っていなかったので、その数値を見たら逆に怖くなりました。
その次の日からひどいめまいを起こすようになりました。勤務中にもめまいでしゃがみ込むので仕事になりません。上司と相談して、婦人科で診断書をもらい1ヶ月休むことにしました」
対策:
「現在は、薬を服用しながら自宅で休養しています。自分の身体と向き合ってみると、めまいが起こりやすい時間帯がわかるようになってきました。
私の場合は午前中にグルグルと回る感じがするので、夕方から夜にかけて家事をしています。最近では近所のスーパーに行けるくらいまで回復。頑張って出勤しようとせず、仕事を休んでよかったと思っています。仕事には復帰したいと考えているので、更年期の症状について自分なりに調べて、今後はホルモン補充療法もやってみたいなと思っています」
CASE2:環境の変化が引き金に⁉自分にあった生活リズムで過ごしてみる
M.Mさん 49歳/管理栄養士
症状:
「20代で結婚・出産をし、仕事を離れていましたが、40歳で復職しました。仕事は楽しかったのですが、2〜3年前から頭が真っ白になってしまうことが多くなったんです。
病院内の厨房で働いたので、患者さんの状態に合わせてカロリー計算や栄養のバランスを考えるため頭を使う作業をしていました。でも、考えようとしても霧がかかったようにモヤモヤして数字や文字が頭に入ってこなくなったんです。それから不眠も始まり、これは更年期症状ではないかと思いました。
その症状は、夫が退職してから始まった気がします。夫は12歳年上なので、定年を迎えて趣味もない人なのでずっと家にいます。コロナ禍もあって一歩も外に出ない……。その環境の変化が影響しているのかな……と」
対策:
「まだ具体的には対処をしていないのですが、今後については計画していることがあります。
今までは朝から夕方までの勤務だったのですが、思い切って早番に変えてみます。朝4時に出勤になりますが、不眠なのできっと大丈夫。昼過ぎに帰宅して睡眠を取れば夫とも顔を合わせずにすみます。あと病院内の心療内科も受診してみようと思っています」
CASE3:悩まされたホットフラッシュには対策グッズで対応
筆者 今泉まいこ52歳/美容家
症状:
「40代に差し掛かった頃から、更年期の症状を感じ始めました。めまい、イライラ、倦怠感など一般的に言われる症状です。
最も困ったのはホットフラッシュによる急な大量の汗。当時はエステティシャンとして接客を行っていたので、お客様の顔に汗が滴り落ちたら大変です」
対策:
「そこで施術をする時には、先輩のエステティシャンから教えてもらった、京都の舞妓さんが顔に汗をかかないためにしているという『汗止め帯』と同じよう要領で、ストッキングをワキから1周させて胸元で強く縛る対策をしました。
また、外出時には常に保冷剤を持ち歩いて、症状が出てきた時はトイレに駆け込み首筋を冷やすなどしていました。加えて、身体の中からもケアしたいと漢方薬も取り入れました。
生理不順で悩んでいた20代の頃にも同じ漢方薬を飲んでいたものの効果を感じませんでしたが、年齢が違えば体感も変わるかもしれないと思い、現在も飲み続けています。そして、50歳の時に閉経するとホットフラッシュの症状はウソのようにおさまりました。今でものぼせ感は起こりますが、症状は少し改善に向かっているはずです」
更年期の症状は千差万別だから抱え込まず相談しよう
一概に更年期と言っても、その症状は三者三様です。現れる症状が1種類だけとは限りませんし、その程度も異なります。身体の変化に戸惑いますし、「まさか自分が!」と思う気持ちもありますが、A.Yさんように突然のめまいに襲われたら、思わぬ事故につながる可能性もあります。
「なんかおかしい」「あれ?更年期かも」と感じることがあったら、ひとりで悩まず、周囲にいる自分より年上の女性や婦人科などの専門機関に相談しましょう。
※
調査実施時期:2023年9月15日(金)~2023年9月22日(金)
調査方法および人数:『ルナルナ』、『ルナルナ 体温ノート』にて調査 有効回答数:10~50 代以上の女性:4,978名
執筆/今泉まいこ
No.00084