妊娠・出産

産後の抜け毛はどうして起こる?その要因と対処法を伝授

出産後の悩みのひとつにあげられる抜け毛には、女性ホルモンの分泌量の変化が大きくかかわっています。どうして抜けるのか、その対処法について、女性の発毛治療の第一人者であり、産後抜け毛外来を開設した『クレアージュ エイジングケアクリニック』総院長・医学博士の浜中聡子先生に教えていただきました。

出産前後のエストロゲンの変化が影響

出産前後のエストロゲンの変化

当院では、産後抜け毛外来を開設するほど、産後の抜け毛について多くの相談が寄せられます。抜け毛の症状は、女性ホルモンの分泌量の影響を受けて、産後直後ではなく、2~3ヶ月後から増えていきます。

妊娠中は、女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が増えているので、髪や肌にツヤもハリもある状態です。そして、産後はエストロゲンの分泌量が急激に減るため、体質が一変するといっても過言ではないほど大きく変化していきます。抜け毛も増えますし、髪質自体も変わります。

産後に見られる髪の毛の代表的な症状
・抜け毛が増える
・全体的に薄くなり、分け目が目立つようになる
・生え際がM字に後退してくる
・白髪が増える、目立ってくる
・直毛だったのがうねる
・髪の毛や頭皮が乾燥しやすくなる

妊娠中と産後のエストロゲンの分泌量の差はとても大きいため、髪の毛に限らず、肌がゆらぎやすくなったり、気持ちの浮き沈みが起きたり……と、さまざまな症状が出てきます。

産後の抜け毛は、1年~1年半かけて改善していく

女性の薄毛

産後の抜け毛はすぐに解決できることではありません。例えば、治療のひとつとしてホルモンを補充したとしても、出産前の状態に戻すことは難しいです。それは、ホルモンバランスだけではなく、年齢による影響や、一人目より二人目、多胎妊娠の場合など、身体への負担が高まるとその分、産後の症状は強く出る傾向にあります。

産後の抜け毛に関しては、1年~1年半かけて徐々に改善してきますので、上手に向き合いましょう。

取り入れたい栄養素はタンパク質と糖分

5 つの主要栄養素

産後に大切にしてほしいのは、体調を整えることです。育児が始まると自分自身のことは後回しになりがちですが、自分の体調のことも意識してください。

そして、体調管理の基本は食事になります。育児をしながら栄養バランスの整ったメニューを用意するのは難しいと思いますので、優先順位をつけながら必要な栄養素を摂取していくのがおすすめです。

髪の毛のために摂取したい栄養素
□髪の毛の栄養になるタンパク質
□素早くエネルギーになる糖分(白砂糖ではなく、フルーツやハチミツがおすすめ)

サポートを得られる環境を整えて、睡眠時間を確保

睡眠やリラクゼーション、快適な休息

妊娠から出産、育児と、身体に負担がかかっている状況が続いていることもあり、睡眠でしっかり回復させていくことも重要です。とはいえ、育児中に睡眠時間を確保するのは難しいですよね。短い時間でもこまめに確保していくことが重要なので、そのためにもサポートが得られる環境を整えていきましょう。

産後には、抜け毛をはじめ、さまざまな身体的な変化が起こり、精神面もその影響を受けます。心身ともにハードな時期になりますので、ひとりで頑張ろうとするのではなく、パートナーとしっかり連携を取りながら、周りからのサポートを得られる環境を作り、少しでも休める時間を確保してください。

産後の変化について情報を共有する

産後にどんな変化が起こるのか、その情報を知っておくこと、対処法を調べておくことも安心材料になります。そして、得た知識や情報はぜひ、パートナーをはじめ、周りの人たちに共有して環境作りに役立ててください。

また、産後抜け毛外来をはじめ、産後ケアのサポートがある施設、生活を送るエリアで利用できる自治体の制度もあります。産後、育児中の助けになる、より安心して過ごすことにつながる情報だと思いますので、調べてみてくださいね。

執筆/木川誠子

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クレアージュ エイジングケアクリニック総院長 浜中聡子先生

クレアージュ エイジングケアクリニック総院長 浜中聡子先生クレアージュ エイジングケアクリニック総院長

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『クレアージュ エイジングケアクリニック』総院長。女性の発毛治療に携わってきた第一人者として、産後の抜け毛や後遺症による抜け毛、薄毛などの頭髪に関するお悩みをはじめ、更年期や女性ホルモンまで女性が抱える悩みに寄り添う。2022年5月には産後抜け毛外来を開設し、患者様が心身ともに充実した毎日を過ごすことができるよう医療面からのサポートを行っている。