女性の体と悩み

相模ゴムが考える、“愛ある家族計画”とは? ふたりで取り組む妊活について考える

これまでは女性が取り組むものというイメージが強かった妊活ですが、近年はフェムテックのムーブメントの広がりとともに、不妊の原因の約半分は男性側にもあるということが知られるようになってきました。そして、さまざまな妊活サポートアイテムも登場しています。

その中でも、ふたりで取り組むことの大切さ、 “自宅で、ふたりではじめられる妊活”を提案しているのが相模ゴム工業株式会社です。どんな想いや考えを持って商品を展開しているのか、普段はなかなか聞くことができないバッググラウンドについてお話を伺ってきました。

創業当時から受け継がれている想いが込められている

相模ゴム工業株式会社

相模ゴム工業株式会社は、日本ではじめて天然ゴムラテックス製のコンドームを製造した企業として知られています。近年では、“ふたりではじめる妊活”をテーマに、精子の活動に着目した妊活対応のジェル『ポジティブサポート』やセルフシリング法キット『タイミングエイド』などの妊活サポート商品を展開。なぜ、コンドームメーカーとして知られる企業が、“自宅で、ふたりではじめられる妊活”を提案しているのでしょうか。

「コンドームをはじめ、妊活サポートアイテム、さらにはプラスチック事業のフィルムなども含めて、弊社で展開しているすべての商品は、“愛のアイデア”をテーマにしています。それは、創業者である松川サクの想いでもあります。

当時では珍しい女性創業者である松川サクは、『女性が自分の身体のことを考えて、子どもを産むようにしないといけない』という想いから、1934年に創業しました。

松川サクがそう考えるようになったきっかけは、女性の性に自由を与えたと存在と言われている、啓もう活動家のマーガレット・サンガー氏の講演で『女性は女性の身をしっかり守らないといけない』という言葉に感銘を受けたことからです。

近年は、結婚や妊娠、出産は選択できることであるという認識が広まってきていますが、創業当時は昭和初期。女性は結婚し、出産することが当たり前とされる時代背景があったこともあり、その言葉に感銘したのだと思います」(営業企画室 山下博司さん)

コンドームも妊活も“愛ある家族計画”

「弊社は、日本ではじめて天然ゴムラテックス製コンドームを製造した企業でもあり、コンドームメーカーとして90年近い実績があります。コンドームには避妊の役割がありますので、妊活サポート商品は真逆の役割を持つ商品だと思われることが多いが、どちらにも“愛ある家族計画”という同じ想いが込められていります。

まだ妊娠・出産を望まない時期に性行為をする際は、きちんとコンドームをつけることが家族計画になります。そして、その時期を卒業し、妊娠・出産を考えるステージになった時にお手伝いできるのが妊活サポート商品です。商品が持つ役割は異なりますが、どちらも家族計画に関係する商品。両方からアプローチしていることは非常に意味があることだと考えています」(営業企画室 山下博司さん)

精子の活動に着目した潤滑ゼリー

ポジティブサポート 75mL ¥3,300(詳細/https://ninkatsu-sagami.com/product/)ポジティブサポート 75mL ¥3,300(詳細/https://ninkatsu-sagami.com/product/)
特許:第5507852号

妊活サポート商品の第一弾として登場したのは、妊活対応の潤滑ゼリー『ポジティブサポート』。いわゆる一般的な潤滑ゼリーとの違いは、精子と精漿(せいしょう)からできている男性の精液の、精子の活動に着目して作られている点です。

射精された精子は、腟と子宮を繋ぐ子宮頸管(しきゅうけいかん)を通って子宮に向かっていきます。子宮頸管は弱アルカリ性の粘液で満たされており、排卵期になると精子を受け入れる環境が整います。

一方、膣内は弱酸性の状態が保たれており、精子は酸性に弱い性質があります。そこで重要なのが弱アルカリ性の精漿の働き。弱酸性の腟内粘液から精子を守り、子宮頚管まで送り届けるのをサポートします。

「『ポジティブサポート』は、精漿や子宮頚管粘液と同じ弱アルカリ性でできており、精子に適したpHになるように調整されているところが大きな特徴です。粘り気とイオンバランスも精子の活動を妨げないように調整されています」(ヘルスケア事業部 東京営業所主任 野村雄介さん)

日用品のように気軽に手に取ってもらえる社会へ

(左から)タイミングエイド ¥13,200(詳細/https://ninkatsu-sagami.com/product/timing_aid.php)、スイムカウント 前進運動精子セルフチェッカー ¥6,600(詳細/https://ninkatsu-sagami.com/product/swim_count.php)(左から)タイミングエイド ¥13,200(詳細/https://ninkatsu-sagami.com/product/timing_aid.php)、スイムカウント 前進運動精子セルフチェッカー ¥6,600(詳細/https://ninkatsu-sagami.com/product/swim_count.php)

さらに、相模ゴム工業が展開する妊活サポート商品には、EDや性交痛などの性機能障害により、自然性交によるタイミング法が難しいふたりに、性行為をせずに精液を採取して膣に挿入できる医療機器の『タイミングエイド』や、精子の質をセルフチェックすることができる『スイムカウント』があります。

「コンドームや妊活製品を扱ういち企業として、性にしっかりと向き合いながら、日用品のひとつとして気楽に買える、買おうとした時にいやらしい目で見られない社会。さらには、性について親から子へ伝えていける社会の実現を目指していきたいという想いが強くあります。

その想いを持って、1994年からは毎年クリスマスにクラブイベント『サガミオリジナルプレゼンツさびしんぼナイト』の開催、12月1日の『世界エイズデー』には、エイズ予防財団の呼びかけのもと、HIV検査のリーフレットともにコンドームを街頭で配るなど、啓もう活動を行っています。

これからも啓もう活動や製品を通して、ひとりひとりが考える“愛ある家族計画”のサポートをしていきたいと考えております」

執筆/木川誠子

No.00046

相模ゴム工業株式会社

日本ではじめて天然ゴムラテックス製コンドーム、ポリウレタン製の製造販売を開始。愛のアイデアをテーマに、ヘルスケア製品事業、プラスチック事業、介護福祉サービス事業などを展開。女性が創業した企業としても知られている。創業は1934年。