生理・PMS

セルフチェックで冷えタイプを知ろう!身体の冷えと女性の健康課題の関係

生理痛や月経不順、PMS……といった女性特有の症状。これらの不調は身体を温めることで、改善が期待できるということを知っていますか?

今回は、漢方医学、自然医学に基づいた診療を行う『イシハラクリニック』副院長の石原新菜先生に、身体の冷えをチェックするポイントや手軽にできる温活方法を教えていただきました。

女性の不調は冷えが原因のものが多い

女性の不調は冷えが原因

「漢方医学には、人の身体は【気・血・水】で構成されているという考えがあります。【気】は身体を動かすエネルギー、【血】は血液、【水】は体内を流れる血以外の液体のことを指します。この3つのバランスが整っていると健康な状態だと考えられていますが、冷えによって血流が悪くなるとバランスが崩れ、身体にさまざまな不調が現れます。

漢方では“冷えは万病のもと”と考えられています。生理痛や生理不順、むくみや片頭痛といったPMSの症状なども、身体が冷えて血流が悪くなることによって引き起こされている可能性があります」(石原新菜先生・以下同)

日本人の平熱は70年前から約1度下がっている

「医学事典によると、平熱の定義は36.5度~37.2度とされています。1957年に日本人の男女3,000人を対象に実施された体温に関する研究があるのですが、その結果を見ると平均体温は36.9度。しかし、現代人の平熱は35度台前半~36度台後半の人が多いです。この70年の間に日本人の生活習慣が大きく変わったこともあり、平熱が1度近く下がっています。理想の平熱は36.5度ですが、最低でも36度はあってほしいです」

自分の冷えタイプを知ろう

自分の冷えタイプを知ろう

冷えが身体によくないことは知っていても、自分の身体が冷えているのかどうかはわからないという人もいるのではないでしょうか。石原先生が考案したチェックリストで、自分がどの冷えタイプに当てはまるか確認してみましょう。チェック項目の多いところがあなたの冷えタイプです。

末端冷えタイプ

□足先が冷えてなかなか寝つけない
□体温は36度~36.5度前後ある
□顔色が悪く、ニキビなどの肌荒れも目立つ
□運動は好きではない
□基本はシャワーだけ

下半身冷えタイプ

□下半身は冷えていて、上半身はほてっている
□お腹が張っていて便秘がち
□体温は36度台
□口が乾くと、つい冷たい飲み物を選びがち
□ニキビなどの肌荒れ、クマが目立つ

内臓冷えタイプ

□手足がほてって眠れない
□冷えの自覚症状はないのに、35度台の低体温
□冷房が好きで、冷たい飲み物を飲みがち
□便秘と下痢を繰り返す
□極端なダイエット経験がある。または現在進行形

●末端冷えタイプの人は……

「手足が冷たくなるので冷えを自覚しやすいです。身体が冷えていると感じた時は、靴下にカイロを貼って温めるなど、冷えているところを直接温めましょう」

●下半身冷えタイプの人は……

「足元は冷たいのに上半身はほてるので、自分は暑がりだと誤解してしまう人もいます。レッグウォーマーを履く、作業をするときは湯たんぽを足元に置くなど、常に下半身を温めながら生活してみてください」

●内臓冷えタイプの人は……

「腸の動きが弱くなったり、免疫力が低下したりとさまざまな不調が出ていても、手足や肌の表面は温かいので、それが冷えによるものだとは気づきにくいことも。身体の中心を温めるために、普段から腹巻きをして過ごすのがおすすめです。内臓の冷えは夏の冷房や冷たい飲み物の影響も大きいので、腹巻きがあると対策になります」

「冷えタイプに関わらず、適度な運動をする、シャワーだけで済ませず湯船に浸かる、温かい飲み物を飲むことも冷え改善に期待ができます。

そして、温かい飲み物にはショウガを加えるのがおすすめです。ショウガに含まれる成分によって血行が促進され、身体を温める効果がより高くなります。ショウガはチューブや粉末のものでもいいので、ぜひ取り入れてみてください」

温活を2週間以上続けて変化を観察

変化を観察

「温活は約2週間続けるとその効果が実感できるようになります。2週間以上続けてもあまり変化が感じられない場合は、温活と並行して漢方薬を服用することで効果が出ることも。ただ、漢方薬はあくまでも温活とセット。身体を冷やす生活をしていては漢方薬も意味がないものになってしまうので、まずは温活で身体の土台作りをしていくのが大切です。

そして体温を測る時間ですが、体温は朝の起床直後が最も低く、14~15時頃にかけて高くなっていきます。そのため、その中間の時間帯である10時頃が正確な体温を測るのにベストなタイミングです。もし、朝起きた時に基礎体温を測っている場合は、口の中は脇の下で測るよりも0.5度ほど高くなっているので、そのことを加味したうえで自分の平熱を記録してください」

 

執筆/平野絵梨香

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石原新菜先生

石原新菜先生漢方・内科医/イシハラクリニック 副院長

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医学生の頃から自然医学の基礎を養い、『イシハラクリニック』では漢方医学、自然療法の考えに基づき、食事の指導や漢方薬処方を中心とする診療を行う。その傍らで、テレビやラジオといったメディア出演、講演活動を通して、美容と健康を増進拡大にも尽力している。『主治医が見つかる診療所』(テレビ東京)にレギュラー出演中。
https://www.ishiharaclinic.com/