女性の体と悩み

PMSや生理痛、更年期の症状などに有効? 漢方薬が女性の健康課題を支える理由

女性の健康課題の改善方法として漢方薬が注目されています。なぜ漢方薬がいいのか、その理由について漢方医学、自然医学に基づいた診療を行う『イシハラクリニック』副院長の石原新菜先生に教えていただきました。

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漢方医学は日本独自に発展した分野

伝統的な薬草

東洋医学に分類される漢方医学は、中医学の考え方に基づき、日本独自に発展した分野と言われています。そして漢方薬は、化学薬品ではなく、生姜や紫蘇、シナモンなど、食効を持つ食材を用いて調合されているのが特徴です。

その漢方薬が注目されているのは、西洋医学がベースとなった現代医学とは異なる考え方にあります。

例えば、高血圧だと診断された場合、現代医学では「高いのだから下げる」という考え方で降圧剤が処方されます。つまり、病名に対して薬が処方される対処療法。

一方、漢方医学の場合は、「なぜ血圧が高いのだろう」と、必ず原因を探します。それは、同じ高血圧という病名であっても原因となる事柄はひとりひとり異なるから。ストレスによって高くなっているのか、冷えから高くなっているのか、食べすぎや飲む過ぎによるものなのか……と、仕事内容や生活スタイルなどを問診しながら探っていき、その原因を踏まえたうえでひとりひとりに適した漢方薬が処方されます。

漢方薬は冷えからくる不調と親和性がある

血行イメージ

漢方医学には、身体を温めて巡りを良くしていくという考えがあります。主に処方される漢方薬は約150種類あり、その7割には身体を温める効能を持つショウガが調合されているほどで、冷えが原因となっている不調に適していると言えます。

特に女性の健康課題である生理痛や生理不順などは、子宮や卵巣の血流が滞っていることで起きています。身体が冷えると血流は滞ってしまうため、身体を温める効能を持つ漢方薬を飲むことで改善が期待できます。

また、漢方薬は妊娠中でも、妊活という視点でも処方でき、幅広い女性の健康課題にアプローチが可能です。

漢方薬で不調の根本を解決していく

例えば、生理痛を解消したいと考えた場合、根本治療となる漢方薬では時間がかかるため不向きと思ってしまうかもしれません。確かに根本治療には時間がかかりますが、その場合は痛みに直接働きかける漢方薬と、痛みの根本原因にアプローチしてくれる漢方薬を併用しながら治療していくことが可能です。

そして、処方された漢方薬を飲み続けることで体質は少しずつ変化していき、生理痛が起こらなくなってきます。ただし、痛みがなくなったからと自己判断で服用をやめるのは避けましょう。急にやめてしまうとまた痛みが起きてしまう可能性があります。

体質が改善していったらその変化に合わせて、1日3回飲んでいたところを1日2回に減らす、漢方薬の処方内容自体を変えるなどしながら継続していくことで根本治療につながります。

このように体質の変化も考慮しつつ、“今の自分に適した形”で取り入れられるのが漢方薬の魅力です。

漢方薬を飲んでいても生活習慣には気を付ける

体幹運動中の女性

たとえ、漢方薬を飲んでいても健康習慣は大切です。例えば、クーラーがきいている部屋の中で冷たいドリンクを飲んだり、夜更かしして睡眠時間が短かったりすると漢方薬が持つ本来の力は発揮されにくくなります。

いつも通り生活していても、人間関係でストレスを感じたり、食生活が乱れたりしてバランスが崩れることがあります。そうなった時にバランスを正常に戻すためのサポート役となってくれるのが漢方薬です。

健康は自分自身で維持していくことが基本です。適度な運動や栄養バランスを意識した食事など、無理のない範囲で規則正しい生活を心掛けたうえで漢方薬を取り入れましょう。

また、今の健康を維持するためにも漢方薬は活躍します。現状、特に気になる不調がないという場合でも、その健康を維持する目的でも取り入れることができますので、健康習慣のひとつの選択肢として漢方薬があることを知っていてください。

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執筆/木川誠子

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イシハラクリニック副院長 石原新菜さん

医学生の頃から自然医学の基礎を養い、『イシハラクリニック』では漢方医学、自然療法の考えに基づき、食事の指導や漢方薬処方を中心とする診療を行う。その傍らで、テレビやラジオといったメディア出演、講演活動を通して、美容と健康を増進拡大にも尽力している。『主治医が見つかる診療所』(テレビ東京)にレギュラー出演中。