生理中、汗臭さとは異なるニオイが気になることがありませんか? 気温と湿度が高くなる季節は、より気になってしまう……ということもあると思います。その気になるニオイは、経血が空気に触れて酸化したことで発生しているかもしれません。
そこで、婦人科と美容を融合させた考え方でフェムキュア施術を提案している、産婦人科医の山村菜実先生にニオイの原因と対策法について教えていただきました。
経血は空気に触れると酸化してニオイが発生
経血に限らず、血液には「血のニオイだ」とわかるようなニオイを感じると思います。どんなニオイに関しても、その感想は人それぞれではありますが、生理中のニオイが気になるというのは悪臭になっているから。それは、経血が空気に触れて酸化してしまったことが原因です。
また、経血は不要になってはがれた子宮内膜が、腟を通って体外に出てきたものです。腟内には菌が存在していることもあり、その菌によってニオイが発生している可能性も考えられます。
生理用品をこまめに変えること!
経血の酸化によるニオイには、生理用品をこまめに変えることが対策になります。例えば、紙ナプキンやタンポンはトイレに行くたびに替えると、経血が空気に触れる機会が少なくなるため、気になるニオイの発生を抑えることにつながります。
「タンポンは膣内に挿入しているから空気に触れない」と思うかもしれませんが、だからといって1日中同じタンポンを使い続けるのはおすすめしません。使い続けることは腟内に存在している菌にとってよくない環境になってしまい、ニオイ以外にもTSS(トキシックショック症候群)という感染症のショック症状が出ることがあります。タンポンであってもこまめに取り替えましょう。
月経カップや吸水ショーツなどを取り入れている場合は、外出先で取り替えるということがないと思いますが、清潔に保つことを心掛けてください。そして、使った後は経血をきちんと洗い流し、保管しておく際もほこりやゴミなどが付着しないように心掛けてください。
どうしてもニオイが気になる場合は婦人科へ
デリケートゾーンは汗をかきやすく、こもりやすい場所でもあるため、気温や湿度が高い季節はよりニオイが気になってくるかもしれません。そんな時は、生理用品をこまめに替えるとともに、デリケートゾーンにも使えるふき取りシートや消臭作用のあるスプレーなどでのケアがおすすめです。さらには、VIOの毛を整えたり、脱毛したりすることで、毛があることによる雑菌の繁殖を抑えることにつながります。
基本的に、生理中における気になるニオイは経血の酸化によるものなので、病気が隠れている可能性は低いです。ただし、生理期間以外にも気になるニオイがある場合は、腟炎などの感染症の可能性が考えられますので、婦人科を受診してください。
注意したいふたつのケア方法
ニオイ対策として、デリケートゾーンや膣内をケアする際は正しく行うことが大切です。中でも「ビデの使用」と「腟内ケア」は注意してください。
1.ビデを使用する場合は、外側だけ!
トイレに設置されているビデは、女性器を清潔に保つためのものですが、腟内を洗うのは避けてください。使用する際は腟内に入らないように注意しながら、表面部分のみに取り入れましょう。
そして、使用後はトイレットペーパーで水分を吸い取ってください。トイレットペーパーで肌をこすってしまわないように、”拭き取る”のではなく、”吸い取る”イメージで。また、肌が乾燥していると細菌が繁殖しやすくなるため、乾燥機能を使って乾かすことは避けましょう。
2.挿入型美容液など、生理期間の腟内ケアは控える
生理の終わりに、残っている経血を出す目的で腟内の洗浄アイテムを取り入れることがあると思います。外に出すつもりでアイテムを取り入れていても、注入の勢いで経血が子宮内に戻ってしまう可能性は否定できません。経血は外に出すことが大切なので、生理中は使用を控えることをおすすめします。
生活習慣を整えることもニオイ対策に
腟内やデリケートゾーンにも菌が存在していることを踏まえると、その菌のバランスを整えることもニオイ対策につながります。
日々の生活習慣が菌の状態を左右してきますので、添加物は控えて、栄養バランスを意識した食生活をはじめ、適度な運動、きちんと睡眠をとることを心掛けてしてください。
執筆/木川誠子
No.00045
2023年5月25日リリース