キャリアと女性の健康

ストレス過多になるとPMSがひどくなる?メンタルヘルスと女性の健康課題

2015年12月から、労働者数50名以上の事業場において、年に1回のメンタルヘルスチェック(ストレスチェック)を実施することが事業者の義務となり、50名未満の場合は努力義務とされました。以降、メンタルヘルスの取り組みはより重要視されています。

また、メンタルヘルスはフェムテック領域にも関係しており、ストレス過多になると生理周期の乱れや、PMSの症状悪化など、なにかしらの影響が出てくるうえ、日常生活に支障をきたす場合もあります。そこで、産婦人科専門医であり、産業医を務める山村菜実先生にストレスと女性の健康課題の関係性。そして、メンタルヘルスとの向き合い方について伺いました。

メンタルヘルスの不調は日常生活にも影響が出る

日常生活にも影響が出る

「メンタルヘルスの不調の症状としては、理由なく胸がぞわぞわする、モヤモヤするといった気持ちに現れるほか、会社に行く時間なのに気持ちが行きたくないと思っているなど、頭で思っていることと気持ちにすれ違いが起きることも症状のひとつです。さらには、食欲がない、眠れない、起きられない、遅刻が増えたなどの日常生活にも支障が出てきます。

特に女性に多いのは、仕事中にも関わらず、突然泣き出してしまうといった、情緒が不安定な症状が見られることです。この場合は自分の意思とは関係がなく起きています。

症状の出方は人それぞれなので、これまでの自分の性格や生活スタイルとは異なることが起き始めた時は、メンタルヘルスの不調が起きている可能性は十分に考えられます」(山村菜実先生・以下同)

ストレス過多によって生理不順が起こる

「メンタルヘルスの不調は、さまざまなストレスが複合的になることで起きています。つまりは、ストレスフルな状態が一定期間続いているということであり、ストレスの影響を受けやすい自律神経と切り離せない女性ホルモンにも影響が出てきます。生理周期の乱れ、PMSの症状が強く出る、経血量が増えるなど、生理にまつわる不調につながりやすいです。

また、更年期世代は要注意!ライフステージによって女性ホルモンの分泌バランスは変わっていきますが、特に40~50代の更年期には一段と分泌量が減り、その影響を受けることで現れるのが、ほてりやホットフラッシュなどの更年期症状です。その時期にストレスフルな状況が重なると、更年期の症状はひどくなりますし、メンタルヘルスへの影響も大きくなります」

 

自覚したり、指摘されたりしたらすぐ対処する!

すぐ対処する

「メンタルヘルスは自分自身がきちんと向き合う必要がある事柄です。好きなことがやりたくなくなってしまったなど、気になる症状を自覚した時や周りの人から「今までとなんか違うよ」などと言われた場合は、そのタイミングですぐに対処することを心掛けてください。メンタルヘルスの不調をそのままにしておくことは避けましょう。

もし、生理不順や経血量の変化など、生理にまつわることで自覚症状を得た時は、まずは婦人科を受診してください。もし、婦人科での対応が難しいとなった場合は、しかるべき機関を紹介してくれます」

逃げ道と甘やかす方法を持っておく

逃げ道と甘やかす方法

「現代女性は、働きながら、妊娠や出産、更年期といったさまざまなライフイベントを経験することになります。物理的にもやることが多い中で、女性ホルモンのバランス変化が起きる出来事を経験することはとてもハード。だからこそ、休める時に休むという意識を持ち、例えば、甘いものを気にせず食べる、今夜分の食器は明日の朝洗おうなど、自分を甘やかすことも大事。また、身体を動かすことはストレス発散につながりますので、運動や散歩を心掛けてみてください。

そして、家族やパートナー、もしくは第三者(産業医やかかりつけ医)など、気兼ねなく相談できる相手がいると、気持ちにゆとりが生まれますし、逃げ道にもなります。日頃からSOSが出せる状況を作っておくことも、メンタルヘルスの安定につながります」

 

執筆/木川誠子

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産婦人科専門医・産業医 山村菜実先生

産婦人科専門医、アンチエイジング専門医、美容産婦人科医、美容皮膚科医として、東京美容クリニックに勤務。婦人科と美容を融合させた考え方で、“フェムキュア施術”を行っている。