思春期・青年期

昼用ナプキンが1時間でいっぱいになる場合は要注意!過多月経の判断基準

「朝起きたら経血が漏れていた」「紙ナプキン1枚だと不安な時がある」など、経血に関する心配や不安を経験したことがありませんか?もしかしたら、経血量が多い過多月経と呼ばれる症状かもしれません。病気が隠れている可能性もあるため、婦人科を受診するなど対処が必要です。

今回は、過多月経について、産婦人科医で、『クレアージュ東京 レディースドッククリニック』婦人科顧問である大島乃里子先生に教えていただきました。

昼用ナプキンから溢れているなら多い

ナプキン(生理用品)

過多月経とは、生理中の経血の量が異常に多い状態のことです。経血の状態ではなく量で判断することになりますが、具体的には1回の生理期間で140mL以上を指します。ただ、経血量を正確に把握することは難しいため、昼用ナプキン(多い日用)が1時間でいっぱいになる状態なら過多月経の可能性があります。いっぱいになるとは、端から端までが経血で埋まっている状態です。

また、レバーのような塊で出てくる頻度が多い場合も過多月経の可能性があります。経血量が多いと腟の中で血液がとどまってしまい、それが塊になってから出てくることがあるためです。

そして、生理期間中、経血が漏れないかと心配しているなど、日常生活に影響が出ているなら、多いと判断したほうがいいと思います。

過多月経には子宮の病気が隠れているかも

めまいと頭痛に苦しみ、医師の助けを必要な状態の女性

過多月経で心配されるのは、まずは貧血です。生理がある女性は貧血になりやすい傾向がありますが、貧血があることが当たり前ではありません。健康診断や婦人科検診で貧血と診察されたことがある、診断されていなくてもめまいや立ちくらみなどの症状がある場合は注意しましょう。

そして、子宮筋腫や子宮内膜ポリープ、子宮腺筋症などの良性疾患、子宮体がんや子宮頸がんなどの悪性腫瘍の影響で経血量が多くなっていることがあります。そのままにしておくと病気が進行してしまううえ、不妊など、そのほかの症状につながる可能性が高まります。

この他にも、初潮を迎えてから数年間は生理周期が安定しないこともあり、10代から20代前半の若年世代と閉経が近づく40代以降は、ホルモンの分泌の乱れから経血量が多くなる傾向があります。また、稀なケースではありますが、血が止まりにくいなどの血液疾患が過多月経を引き起こしていることも考えられます。いずれにしても、一度、婦人科を受診することをおすすめします。

婦人科検診で相談する

患者を診察する医師

婦人科検診では必ず問診があります。その際に生理周期や経血量などを記入したうえで、直接医師と会話をし、自分自身は気にしていなくても、「どう考えても経血量が多い」「生理周期にばらつきがある」などと、過多月経の傾向が見られると判断されることがあります。

その場合は、疑いをクリアにするために、例えば、子宮筋腫などが考えられる場合は内診や超音波検査などを、ホルモン分泌の乱れによる可能性が考えられるならホルモン検査を行います。その検査の結果、何もなければ問題ありませんし、病気が見つかった場合はすぐ対処することができます。

定期的に婦人科検診を受けることは、自分の健康を守ることにつながります。「経血が多い気がする……」などの気になることがある場合はもちろんですが、特に気になることがなくても、定期的に婦人科検診を受けましょう。

執筆/木川誠子

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産婦人科医 大島乃里子先生

クレアージュ東京 レディースドッククリニック 婦人科顧問。日本産科婦人科学会専門医、日本婦人科腫瘍学会専門医、医学博士。東京医科歯科大学病院 周産・女性診療科 講師。婦人科腫瘍のほか女性医学の専門医でもあり、思春期から老年期までの女性の生涯におけるヘルスケアを担っている。