女性の体と悩み

だから、定期検診が大切!子宮頸がん、乳がん、卵巣がん……女性特有のがんを知る

婦人科のがん検診には行っていますか?「行ったほうがいい」ということはわかっていても、婦人科の検診は心理的なハードルが高く、後回しにしている人も多いのではないでしょうか。ですが、がんは早期発見が重要です。

今回は、女性特有のがん、そして検診の重要性について『クレアージュ東京 エイジングケアクリニック』総院長であり、医学博士の浜中聡子先生にお話を伺いました。

女性特有のがんは3種類

女性特有のがん

「女性特有のがんは、子宮や卵巣、乳房など、女性にしかない臓器にできるがんのことを指します。その種類は、乳がん、子宮がん(子宮頸がん・子宮体がん)、卵巣がんの3つです」(浜中聡子先生・以下同)

発症率が高い傾向にある【乳がん】

「女性特有のがんの中で、発症率が高い傾向にあるのが乳がんです。乳房にできる悪性腫瘍のことであり、40代後半から50代前半の閉経前後での罹患が多く、60代で再びピークを迎える傾向にあります。

子宮がん、卵巣がんとは異なり、唯一自分で見つけられるがんとも言えます。乳房を触ってみた時にしこりを感じる、乳頭から茶褐色の分泌液が出るなどセルフチェックが可能です」

子宮頸がんと子宮体がんがある【子宮がん】

「子宮頸がんは、子宮の入り口、子宮頸部に発生するがんのことです。比較的若い世代でも発症リスクがあります。定期検診に行くことでそのリスクは下げることができ、またはワクチンでの予防も可能です。

子宮体がんは、子宮体部にできるがんで、子宮内膜がんとも呼ばれます。子宮頸がん、子宮体がんともに、不正出血や腹部の痛み、張りなどが自覚症状として挙げられます」

発見が難しいとされる【卵巣がん】

「卵巣に発生するがんが卵巣がんです。卵巣がんは年々増加傾向にありますが、症状が表れにくいため、発見が難しいです。

自覚症状としては、子宮がんと同じように不正出血や卵巣がある位置、足の付け根の上あたりに痛みを感じることがあります」

 

 

検診での早期発見が重要な理由

検診での早期発見

「すべてのがんに言えることですが、がんは進行すると転移が起こり、身体のさまざまな部位に広がるため根治が難しくなってしまいます。そのため、早期発見が重要であり、初期段階であれば生存率は高まります。

がんは、その進行の段階によってステージ0から4までの数字で表されます。0や1といった初期段階で発見できれば、治療法の選択肢が広がり、治療期間も短くなります。

検査に行く時間がない、病院に行きたくない、結果を見るのが怖いなど、検診を避けたくなる理由はさまざまあるとは思いますが、健康を維持するためはもちろん、早期発見につなげるためにも定期検診は必要です。その結果、心身の影響を最大限に小さくすることにもなります」

検診を受けるタイミングと検査内容

検査内容

では、早期にがんを見つけるための検査方法にはどんなものがあるのでしょう。「痛い」「怖い」「恥ずかしい」というイメージが先行して、具体的な検診内容を知らない人もいるのではないでしょうか。検診で行われる検査内容をきちんと知っておくことは安心につながります。それぞれのがん検診で行われる代表的な検査内容と検診を受けるタイミングを紹介します。

●乳がん検診を受けるタイミング

「対象年齢は40歳以上で、2年の1度の検査を推奨しています。

生理中は乳房が張っているため検診には適していませんので、生理が終わってから1週間の間に受けるのが好ましいです。また妊娠中・授乳期には担当の医師に相談して検診日を決めるようにしてください」

●乳がん検診の検査内容

「乳がんにはマンモグラフィーとエコーの2種類があります。マンモグラフィーとエコーでは得意とすることが異なりますので、より正確な診断のためには同日に両方を受けることをおすすめします。

マンモグラフィーは専用のマシーンに乳房を挟み、X線で撮影する方法です。石灰化を見つけるのに優れています。乳房の石灰化で見つかる乳がんは、まだ早期の段階。この時点で見つかれば手術のみで治療を終えることが可能になります。

エコーは、乳房に超音波をあて、反射波を画像に映し出し乳房内部を調べる方法。手で触ってもわからない数ミリのしこりを見つけることができるのが特徴です。乳腺が発達している比較的若い世代に適している検査方法です」

●子宮がん検診を受けるタイミング

「子宮頸がんの検診は、20~69歳までの間、2年に1回が推奨されています。

一方、子宮体がんには指針がないため、子宮頸がん検診の際に一緒に行うのがおすすめです。一定の期間で受け続けることを心掛けましょう」

●子宮がんの検査内容

「子宮頸がんの検査は、医師が専用のブラシやヘラなどで子宮の入口の細胞を採取する、細胞診(さいぼうしん)が一般的です。また腟内へ専用の器具を挿入する経腟超音波(経腟エコー)も有効とされています。

子宮体がんの場合も、子宮頸がんと同様に細胞診を行います。経膣エコーも併用するとより正確に検査することができます」

●卵巣がん検診を受けるタイミング

「卵巣がんに関しては、推奨されるタイミングはありません。ただし、自覚症状がなく気がついた時には進行している場合があるため、1〜2年の間隔で定期的に受診することをおすすめします」

●卵巣がんの検査内容

「子宮とは異なり、卵巣は骨盤内の深い部分にあります。そのため、細胞診での検査はできません。卵巣がんが疑われる場合には、エコー検査、CT検査、MRI検査など画像検査が一般的です」

普段から検診を心がけることが必要

近年では、心身の負担やストレスを考慮した検査方法が増えています。例えば、乳がん検診の場合、痛みの少ないマンモグラフィーや無痛MRI乳がん検診。子宮がん検診は、挿入時に痛みを感じにくい経腟エコー検査などがあります。

企業内の健康診断では、婦人科検診が含まれているかを確認し、ない場合はオプションとして選択しましょう。そして、自治体からのがん検診クーポンが届いたら、必ず受けることを習慣にしてください。加えて気になることがある場合は、クリニックを受診しましょう。検診の積み重ねが早期発見にもつながります。

執筆/今泉まいこ

No.00115

浜中聡子先生

浜中聡子先生医学博士/クレアージュ エイジングケアクリニック 総院長

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女性の発毛治療に携わってきた第一人者として、産後の抜け毛や後遺症による抜け毛、薄毛などの頭髪に関するお悩みをはじめ、更年期や女性ホルモンまで女性が抱える悩みに寄り添う。2022年5月には産後抜け毛外来を開設し、患者様が心身ともに充実した毎日を過ごすことができるよう医療面からのサポートを行っている。
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