女性の体と悩み

産婦人科医が伝授!女性ホルモンのバランスの変化と上手に付き合う6つのポイント

生理前になると食欲が増したり、生理が終わると肌の調子が良くなったり、そんな変化を感じたことはありませんか?それは、生理周期や年齢によって分泌バランスが変化する女性ホルモンの影響によるものです。

嬉しい作用もあれば、できるかぎり避けたい作用もありますよね。そこで今回は、婦人科と美容を融合させた考え方でフェムキュア施術を提案している、産婦人科医の山村菜実先生に女性ホルモンのバランスと上手に付き合うためのポイントを教えてもらいました。

 

ポイント1 生理周期を把握する

「エストロゲンとプロゲステロンの2種類の女性ホルモンは生理周期に合わせてバランスが変化しています。生理期間が終わるとエストロゲンの分泌量が増えて、排卵後から生理前になるとプロゲステロンが増えてきます。

エストロゲンが優位の時期は、肌にうるおいを与えてくれますし、気持ちの面でも安定して過ごすことができます。一方、プロゲステロンが優位な時期は、むくみやすく、肌荒れも起きやすいです。気持ちの面でもイライラしやすかったり、落ち込みやすかったりもあります。

自分自身の生理周期を把握しておくことで、生理前は予定をあまり入れずにゆっくり過ごそう、生理が終わったらアクティブに動こうと、対策が取りやすいです」

ポイント2 ピルで生理をコントロールする
ピルで生理をコントロール

「ピルには、排卵の抑制、子宮内膜が厚くなるのを抑える、女性ホルモンのバランスを一定に整える役割があります。そのため、エストロゲンとプロゲステロンの分泌バランスの変化による影響を避けることが可能に。さらには、PMSや生理痛などの生理に伴う症状の緩和にもつながります。

生理周期が把握しやすくなることから、予定に合わせて生理日を調整することも可能になるというメリットも。ただし、20代、30代から服用していて、40歳以降も続けることは問題ありませんが、40歳以降での新規の服用は血栓のリスクを高めることにつながるためおすすめしません。そういった視点からもピルへのアクセスは早いタイミングが望ましいです」

 

ポイント3 生理周期に合わせて約1ヶ月で調整をする

「女性ホルモンの分泌バランスの変化における影響は、自分の意思ではコントロールが難しいです。エストロゲンとプロゲステロンの特性を知ったうえで、特にプロゲステロンからの影響はそういうものだからしかたがないと、ラフに受け止めることも大切です。そのうえで、自分自身の生理周期に合わせて約1ヶ月サイクルで調整をすると無理なく続けやすいと思います。

例えば、プロゲステロンの分泌が増える時期は食欲が旺盛になりやすいです。我慢をすることはストレスにつながってしまうので、ある程度は食べてもOKと許容。その代わり、生理が終わってエストロゲンの分泌が増える時期になったら調整するくらいの感覚で向き合ってみましょう」

ポイント4 女性ホルモンに合わせてスキンケアアイテムを変える
スキンケアアイテム

「女性ホルモンは肌の状態にも影響を与えているため、同じスキンケアアイテムを使っていても調子がいい時とイマイチな時が出てきます。エストロゲンは肌の水分量を増やしハリやツヤを高めてくれ、肌にとって嬉しい働きをしてくれます。一方、プロゲステロンは皮脂分泌を促し、シミの原因になるメラニンの生成を促進するなど、肌には嬉しくないホルモンなので、女性ホルモンのバランスに合わせてスキンケアを変えるのも上手に付き合うポイントです」

●排卵後から生理前……オイルケアを控える
「プロゲステロンの分泌が増えるため、皮脂が増える、毛穴が詰まる、ニキビができるなどのトラブルが起こりやすいです。油分を控えたスキンケアを心掛けてください」

●生理中……保湿を徹底的に!
「エストロゲン、プロゲステロンともに分泌が少ない時なので、肌は乾燥しやすく、刺激も受けやすくセンシティブな状態。ローションでの保水よりは、クリームでの保湿を大切にしてください」

●生理後から排卵前……新しいアイテムの導入や角質ケアを
「エストロゲンの分泌が上昇するともに肌状態は安定してきます。1ヶ月の中でもっとも肌の調子がいい時期なので、角質ケアなど刺激のあるスキンケアを取り入れても問題ありません。新しいスキンケアアイテムや方法を取り入れるならこの時期に」

ポイント5 45歳を過ぎたらホルモンチェックをする
45歳を過ぎたらホルモンチェック

「嬉しい作用をもたらしてくれるエストロゲンは30歳以降、その分泌量が減っていきます。そして、40代に入るとさらに減っていき、45歳以降になると生理のタイミングがずれる、経血量が変わった、気持ちのムラが激しくなったなど、なにかしらの影響が出てきます。

気になる症状がある場合はもちろんですが、今のところ特になくても45歳を過ぎたら、ホルモン検査をしてみるのもおすすめです」

ポイント6 かかりつけ医を見つける

「女性ホルモンのバランス推移や、バランスの変化による影響の出方には個人差があります。自分に適した方法で対策、予防をするために、相談しやすい医師を見つけておくことが大事です。

また、エストロゲンの分泌が減少することは、さまざまな病気につながることもありますので、いざという時にすぐ行動ができるようにしておくためにも、ぜひかかりつけ医を見つけてください」

執筆/木川誠子

No.00071

産婦人科専門医・産業医 山村菜実先生

産婦人科専門医、アンチエイジング専門医、美容産婦人科医、美容皮膚科医として、東京美容クリニックに勤務。婦人科と美容を融合させた考え方で、“フェムキュア施術”を行っている。