女性の体と悩み

ピルの服用方法や種類と特徴を知って、自分に合ったタイプを探す

ピルは、女性主体の避妊法であると同時に、生理をコントロールする役割や婦人科系の病気の予防にもつながります。毎日服用する必要がある薬のため、自分に合ったタイプを見つけることが大切。

ピルのオンライン診察サービス『スマルナ』と連携する医師である、『さくま診療所』院長の佐久間航先生に、ピルの種類とその特徴や服用方法を教えてもらいました。

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※特に記載がない場合は、【ピルとは低用量ピル】を指します。

ピルには目的が異なる3種がある

避妊薬セット

種類1:低用量、超低用量ピル
ピルというと、一般的には毎日服用するタイプの低用量、超低用量を指すことが多いです。どちらも含まれている女性ホルモン量は同じで、中身には大きな違いはありません。

実は、低用量と超低用量を避妊用と治療用とカテゴリーに分けているのは日本独自の規定。そのことから保険適用なのは、治療用とされている超低用量ピルのみになります。

種類2:中用量ピル
短期的な生理日移動を目的として使用されるのが中用量ピルです。毎日服用する低用量に対して、短期間服用するタイプになります。

種類3:アフターピル(緊急避妊薬)
アフターピルは、主に【LNG法】と【ヤッペ法】の2種類があり、避妊に失敗してしまった時に後から服用するタイプです。

〇LNG法
国が承認しているアフターピルが【LNG法】です。性交後72時間以内に1錠服用。24時間以内に服用した場合、95%の割合で妊娠を回避できるとされています。

〇ヤッペ法
性交後72時間以内に2錠、さらに12時間後にもう一度2錠を服用します。24時間以内に服用した場合、77%の割合で妊娠を回避できるとされています。こちらの方法は、“医師の判断と責任”によって行われる手段になります。

低用量ピルには1相性と3相性がある

低用量ピルには、錠剤に配合されている女性ホルモンの量によって2種類に分けられます。

〇1相性(そうせい)
1シートの錠剤(実薬)に配合されている女性ホルモンの量がすべて一定のタイプ。

主な種類と取り入れ方
ファボワール28/マーベロン28など
・生理の初日〜5日目の間に飲み始める。
・1日1錠剤を毎日できるだけ同じ時間に飲む。
・白色の錠剤を21日、緑色の錠剤を7日間連続して28日間。
・1シート飲み終えました翌日から次のシートの左上の「スタート」から矢印の順に飲んでいく。

〇3相性
配合されている女性ホルモンの量が、生理周期に合わせて段階的に調整されているタイプ。低用量ピルを服用していない場合、生理周期に合わせて女性ホルモンの分泌は変化していることから、3相性タイプはより自然な状態に近づけるように女性ホルモンの量を3段階に変化させています。

主な種類と取り入れ方
ラベルフィーユ28/トリキュラー28/アンジュ28など
・生理の初日〜5日目の間に飲み始める。
・1日1錠剤を毎日できるだけ同じ時間に飲む。
・赤褐色の錠剤を6日、白色の錠剤を5日、黄色の錠剤を10日、白色の錠剤を7日間連続して28日間。
・1シート飲み終えました翌日から次のシートの左上の「1」と書かれている赤褐色の錠剤から順番に飲んでいく。

1相性でも、3相性でも、PMS(生理前症候群)の改善や生理痛の軽減、避妊効果に関しては、同じ効果が期待できます。そのため、自分に合ったタイプを選ぶことが可能です。

シートは28日周期、生理初日から開始する

女性期間カレンダー

ピルの飲み始めは原則として生理1日目になります。もし、生理による出血なのか、不正出血なのかがわからないという場合は、生理5日目までからでも可能なので、きちんと出血を確認してから服用しましょう。

そして、ピルのシートは28日周期で作られています。ただし、【21錠】と【28錠】タイプがありますので、2シート目の服用開始タイミングはそれぞれの設定されている周期から服用を始めることになります。

〇21錠タイプ
1シート目の21錠を飲み終えたら、服用を7日間お休みして、その後に2シート目を開始。

〇28錠タイプ
1シート目の28錠を飲み終えたら、お休み期間はなく、そのまま2シート目へ。

ピルは毎日服用する必要がありますが、もし「飲み忘れた!」という場合は、このまま飲み続けてもいいのか判断できないこともあると思います。そういう時は、診断・処方してもらった医療機関、もしくはピルを製造している各製薬会社や『スマルナ』などのオンライン診断サービスのサイトに対処の方法が記載されていますので、積極的に活用してください。

知りたいことは確認して、目的に合わせてピルを選ぶ

質問への答えを探したりする女の子

「生理をコントロールしたい」「生理痛を緩和したい」「海外旅行に行くタイミングと生理がかぶるからずらしたい」など、ピルを服用する目的はひとりひとり異なります。

また、「ピルを飲むと太ると聞いた」「頭痛や吐き気などの副反応が気になる」「ピルを飲むと妊娠しにくくなるのでは……」など、ピルにまつわるさまざまな噂や情報が気になる場合もあるかと思います。不確かな情報は、医療機関やピルを作っている製薬会社、ピル診断・処方サービスのサイトなど、信頼できるソースできちんと確かめましょう。

ピルには種類があります。服用したい目的や希望はきちんと伝えて、わからないことはその都度確認したうえで服用を始めてください。また、診察時間内に通えないなど、医療機関を受診するのにハードルがある場合は、オンラインサービスを利用するのも選択肢のひとつ。自分自身のライフスタイルを考慮して、より快適に過ごせる形で取り入れることをおすすめします。

執筆/木川誠子

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さくま診療所院長 佐久間航先生

さくま診療所 院長。大阪医科大学付属病院、高槻赤十字病院、佐野伊川谷病院、岸和田徳州会病院などで、不育症、更年期、漢方、骨粗しょう症外来を受け持つ。その経験を活かし、『さくま診療所』を開院し、一般的な婦人科の相談をはじめ、内科疾患、各種健康診断を行う。