妊娠・出産

子宮や卵巣の状態、感染症などもチェック!プレコンセプションケアの視点で考える妊娠準備

将来、子どもを持つことを考えていても、「何をすればいいかわからない……」ということがありますよね。そんな時は、妊娠前の健康管理であるプレコンセプションケアの視点で取り組んでみませんか。

産婦人科医であり、『クレアージュ東京 レディースドッククリニック』婦人科顧問でもある大島乃里子先生に、プレコンセプションケアの視点で取り組む健康管理について教えていただきます。

プレコンセプションケアって何?

ストレッチする夫婦

プレコンセプションケアは受精・懐妊前のケアと呼ばれていて、WHO(世界健康機関)の定義では、“妊娠前の女性とカップルに医学的・行動学的・社会的な保険介入を行うこと”です。

つまり、健康リテラシーの高い生活を送り、将来的に妊娠・出産の可能性を高めることにつなげていく考え方。

生理があるから妊娠が可能というわけではありません。必要な知識を得ること、今の生活を見直し、整えること、ライフプランを考えること。そして、将来誕生する子どもも含めた家族全員が健康で安心して生きていけるような社会を作っていくために、何ができるだろうと考えることもプレコンセプションケアです。

妊娠の妨げになる可能性を調べる

産婦人科医との診察

具体的なアクションとしては、婦人科疾患の有無を調べるために、定期的に婦人科検診は受けておくことが重要です。健康管理という側面から見ても必要なこと!

妊娠の妨げになる可能性がある代表的な婦人科疾患

●子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)
子宮の壁にできる良性の腫瘍です。悪性腫瘍(がん)のように、周囲の組織を破壊しながら大きくなることはないものの、徐々に大きくなっていくことで下腹部の痛みや貧血などが起こり、不妊の原因にもなります。

●卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)
液体の入った袋のような病変が形成される、卵巣に発生する腫瘍の一種です。袋の中を満たす成分によって、漿液性嚢腫(しゅうえきせいのうしゅ)、粘液性嚢腫(ねんえきせいのうしゅ)、成熟嚢胞性奇形腫(せいじゅくのうほうせいきけいしゅ)、チョコレート嚢腫などに分けられます。多くは良性のため、急に大きくなったり、転移したりすることはありませんが、チョコレート脳腫は不妊の原因になることがあります。

より安心できる3つの検査項目

1.より鮮明に子宮や卵巣の状態がわかる『経腟超音波検査』

細い超音波の機械を腟から挿入して、子宮や卵巣の状態を確認する検査です。妊娠検査の超音波の場合は、お腹にゼリーを塗って行いますが、子宮からの距離が遠くなります。その点、『経腟超音波検査』は直接検査することができますので、より鮮明に状態を調べることが可能です。性交渉の経験がある場合なら苦痛なく受けられると思います。

2.卵子の残数を推定する『AMH(卵巣予備能)検査』

AMHはアンチミューラリアンホルモンの略称で、発育過程の卵胞から分泌されるホルモンです。このホルモンを調べることで、卵巣内に残っている卵子の数を推定することができます。また、早発卵巣不全ではAMHの値が低く、多嚢胞性卵巣症候群では高く出るという特徴もあります。

ただし、卵子の残数が推定できても、妊娠率と直結するわけではありません。

3.甲状腺ホルモンと抗体の有無がわかる『血液検査』

のどぼとけの下にある甲状腺という臓器から分泌されている甲状腺ホルモンは、バランスを保つことが大切です。分泌量が多すぎたり、少なすぎたりすると甲状腺の病気が発症し、月経周期の異常や不妊、流産の原因になる可能性があります。

この他に、子どもへの影響が出やすい、クラミジアなどの感染症の有無や麻疹(はしか)・風疹の抗体の有無も妊娠前に調べておくと安心です。

ベーシックな婦人科検診はもちろんですが、最近では、例えば、『クレアージュ東京 レディースドッククリニック』のプレコンドック(¥28,600)など、プレコンセプションケアをテーマにした検査プランを用意しているクリニックもあります。婦人科検診に行った際にオプションで付けられるケースもありますので、活用してみてください。

自分の健康管理から始めてみる

自宅でヨガを練習する女性

プレコンセプションケアは、パートナーがいる、いないに関わらず、年齢に関係なく、自分自身の健康と向き合うことがベースにあります。

具体的な行動を起こすためにも、知識は大切です。必要な知識を得ながら、今の生活習慣を知って、婦人科検診や健康診断をきちんと受けましょう。そして、必要に応じて、専門家に相談する機会を作るのもおすすめです。

執筆/木川誠子

No.00058

産婦人科医 大島乃里子先生

クレアージュ東京 レディースドッククリニック 婦人科顧問。日本産科婦人科学会専門医、日本婦人科腫瘍学会専門医、医学博士。東京医科歯科大学病院 周産・女性診療科 講師。婦人科腫瘍のほか女性医学の専門医でもあり、思春期から老年期までの女性の生涯におけるヘルスケアを担っている。