女性の体と悩み

尿モレの原因は筋力低下だった⁉ 知っておきたい尿モレの原因と対策法

これまでは、出産後や更年期に見られる症状として認知されていた尿モレ。現代は、出産経験の有無にかかわらず、世代問わず、尿モレに悩んでいる人がいると言われています。「尿モレは筋力の低下が影響しています」と教えてくれたのは、『クレアージュ エイジングケアクリニック』総院長・医学博士の浜中聡子先生。

なぜ尿モレが起きてしまうのか、その原因とともに、日々の暮らしの中で取り組める対策についても伺いました。

産後と加齢などによる筋力低下が原因

尿漏れ

尿モレは、くしゃみをした時や思いっきり笑った時などに、意図せず尿が出てしまう症状のことです。その尿モレの症状は、出産後と更年期の女性によく見られます。

出産後の場合は、胎児の成長とともにお腹が大きくなっていきますが、膀胱の位置は変わりません。そのため、お腹が大きくなると膀胱が押されてしまい、その状態で数ヶ月間を過ごすことになります。

その状態は出産したらすぐに元通りになるわけではなく、徐々に戻っていきますので、その過程で尿モレを自覚することがあります。中には、膀胱が麻痺しているケースもあるため、ひどい場合は排尿のたびにカテーテルを入れて導尿しなくてはいけなくなるケースも。

そして、更年期で見られる尿モレの場合は、子宮や膀胱を支えている骨盤底筋などの筋力が加齢によって低下していることが要因になっています。ただし、筋力の低下という視点では、若い世代にも関係があります。過度な減量は筋力の低下につながりますので、年齢に関わらず尿モレが起こる可能性も考えられます。

女性は身体の構造から見ても尿モレが起きやすい

そもそも尿は、血液から作られています。血液の中にある老廃物や有害物質が腎臓でろ過されて取り除かれ、不要な水分と一緒に尿として排出されます。

排出されるまでは、腎臓から腎盂(じんう)という臓器、尿管という細い管を通って、下腹部にある膀胱に溜まり、一定量に達すると尿道を通って体外に出ていきます。

尿が一定量溜まるとトイレに行きたくなりますが、すぐに行けない状況だと我慢をすることがあると思います。その時、なぜ我慢ができるのかというと、尿道にある外尿道括約筋(がいにょうどうかつやくきん)という筋肉を収縮させて抑制、つまりフタをしているからです。加齢や過度な減量などで筋力の低下が起こると、骨盤底筋だけではなく、この外尿道括約筋も弱まってしまっているため、尿モレが起こりやすくなります。

また、女性は男性に比べると尿道が短いためです。身体の構造から見ても女性は、尿モレが起きやすく、さらには膀胱炎などの泌尿器にまつわる不調になりやすい傾向があります。

気になる場合は泌尿器科、婦人科で相談する

実は、尿モレの症状が深刻な状態なのかどうかを決めるのは自分自身になります。尿モレの症状があっても対策アイテムを取り入れることで、問題なく日常生活を送れるという人もいれば、「尿モレが気になって外出するのが怖い」と思う人もいます。感じ方には個人差がありますので、生活に支障をきたす場合や強くストレスを感じる場合、または尿モレの頻度や量が増えてきたという場合は、泌尿器科を受診しましょう。

泌尿器科は尿路と呼ばれる、尿管や膀胱、尿道といった臓器を専門に診る科になります。尿モレや膀胱炎といった症状を専門に診る泌尿器科があることを知っていてください。知っていることでいざという時、行動しやすくなると思います。もし近くに泌尿器科がない場合は、婦人科に相談してください。

尿モレ対策には体幹トレーニング

筋トレ サイドプランク サイドブリッジ

尿モレは筋力の低下、特に膀胱を支えている骨盤底筋と尿道部分の外尿道括約筋の低下が影響しています。その対策としては、体幹を鍛えることが有効的です。お腹やお尻まわりと部位を限定するのではなく、体幹、さらには全身の筋力を鍛える意識を持って、ヨガやピラティスなどの運動を習慣づけましょう。

筋力を鍛えていくうえで一番大切なのは、継続して行うことです。頑張らないと取り組めないトレーニングや生活に取り入れにくい方法は継続が難しいと思いますので、自分のライフスタイルや性格に合った方法で取り組むことをおすすめします。

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執筆/木川誠子

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クレアージュ エイジングケアクリニック総院長 浜中聡子先生

クレアージュ エイジングケアクリニック総院長 浜中聡子先生クレアージュ エイジングケアクリニック総院長

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『クレアージュ エイジングケアクリニック』総院長。女性の発毛治療に携わってきた第一人者として、産後の抜け毛や後遺症による抜け毛、薄毛などの頭髪に関するお悩みをはじめ、更年期や女性ホルモンまで女性が抱える悩みに寄り添う。2022年5月には産後抜け毛外来を開設し、患者様が心身ともに充実した毎日を過ごすことができるよう医療面からのサポートを行っている。