安心を届けられるプロジェクトだと感じました!【『誰もが快適な生理を』リアルヴォイスvol.1 帝人株式会社】

『誰もが快適な生理を』プロジェクトは、『フェムテックジャパン』の取り組みのひとつ。学校や企業、公共施設などのトイレにノンポリマータイプの生理用ナプキンを設置し、ひとりでも多くの方がより快適な生理期間を過ごせるよう支援しています。

プロジェクトの想いに賛同し、導入を開始した学校や企業などに訪問し、リアルな声をお届けします。第1回目は『帝人株式会社』です。担当者であるグローバルダイバーシティ&インクルージョン推進室 下久保由美子さんと人事戦略部 戦略企画グループ 山本渚さんにお話を伺いました。

>>>『誰もが快適な生理を』プロジェクトの詳細はこちらから

売店で生理用品の取り扱いがなくなることに危機感があった

下久保由美子さん(右)と 山本渚さん(左)下久保由美子さん(右)と 山本渚さん(左)

―『誰もが快適な生理を』プロジェクトを導入しようと思ったきっかけから教えてください。

下久保さん:全国にある事業所で勤務している従業員は、就業時間中は敷地内で過ごし、外に出ることはほとんどありません。また事業所内も広く、移動時間もかかります。そのため必要なものを敷地内にある売店などで購入できるようにしています。その売店から生理用品の取り扱いがなくなったという話を聞いたことが導入のきっかけになりました。

弊社は男性と女性が8:2ということもあり、生理用品の販売数が伸びません。そうなると売店内で常時取り扱うのが難しくなるという現実があるのですが、必要なものがなくなるのは問題だと思い、その事業所出身の社員に話を聞きに行きました。

「女性なら生理用品は持参しているのが当然だし、売店でわざわざ購入する人も少ない。実際、販売実績もあまりないことを考えると取り扱いをやめても問題ないだろう」という声があり、廃止に至ったということでした。女性としては、突然の状況に対応するためにも生理用品が身近にあることで安心できます。また、職場の働きやすさにつながることだとも思ったので、導入に向けて動き出しました。

山本さん:また、男性が多い中でポーチを持ってトイレに行くこと自体、恥ずかしさや嫌な気持ちになることはあると思います。精神的な側面からも負担の軽減につながると思いました。

―女性従業員は全体の2割ということですが、その中で『誰もが快適な生理を』プロジェクトを導入するのはハードルが高いように感じたのですが、実際はどうでしたか?

下久保さん:実は、そんなにハードルは高くなかったんです。どんなことを聞かれても対応できるように……と、いろいろ準備をして会議に臨んだのですが、「いい取り組みだと思うから、トライアルと言わず、できるところからすぐにでも導入していこう」と、担当役員がすぐに理解を示してくれました。そのおかげでスムーズに話が進んで、逆に「え、いいんですか?」という感じでした(笑)。

山本さん:弊社では、更年期や不妊治療など、知識をしっかり身に付けてもらおうとセミナーを継続して開催しています。そして、事業所のトイレをリフォームするための『煌めきトイレプロジェクト』も実施していたので、すでに機運が高まっていたから……というのもあると思います。

―『煌めきトイレプロジェクト』についてもう少し教えてください。

山本さん:各事業所のトイレは、昭和初期に設置されたこともあって全体的にとても古い造りでした。中には、外から丸見え状態の女性用トイレもありましたので、安心してトイレに行くことができない環境を改善しようということで始まったのが『煌めきトイレプロジェクト』です。トイレを変更した事業所からはとてもいい反応が届きました!

写真付きで感謝のメッセージが届いた!

―御社独自の取り組みがあったからこそ、『誰もが快適な生理を』プロジェクトもスムーズに話が進んだのですね。

下久保さん:ただ、今回の『誰もが快適な生理を』の場合は、事業所から「なぜ?」と、疑問の声がありました。

本社の場合は来客もありますし、採用における競争力をつけるという意味でも導入への理解は高かったのですが、事業所の中では「生理用品は自分で持ってくるのが当たり前」という考えを持った人が多かったです。また、発注や補充などのオペレーションや「予算はどうなるの?」と、より具体的なことへの声もありました。

山本さん:会社に貢献をしてくれている人たちに長く働いてもらうためには、働きやすい会社にしていく必要があると考えています。今いる女性従業員を大事にすることは、未来の働く女性を大事にすることにつながります。今回の取り組みもそのひとつだと思って、各事業所からあがってきた声はひとつずつ解決していきました。

―いざ導入してみてからはどんな反応がありましたか?

下久保さん:2023年3月に本社からトライアル導入したのですが、じわじわと「本当にありがたいです」という声が届いています。

その後、各事業所にも導入していきました。トライアル期間の1ヶ月は生理用ナプキンを無償提供していただけましたし、山本さんの企画『フラワープロジェクト』からの寄付金もいただけたので、設置はスムーズでした。その間にオペレーションを整えて働く場所の安心を感じてもらえる環境になったと思います。現時点(取材した8月時点)で導入を止めた事業所はありません。むしろ、設置している場所の写真と一緒に感謝のメッセージが届きました!

事業所から届いた、『誰もが快適な生理を』プロジェクトの設置風景(左)。大阪(右上)、東京両本社でも設置しています。事業所から届いた、『誰もが快適な生理を』プロジェクトの設置風景(左)。大阪(右上)、東京両本社(右下)でも設置しています。

山本さん:私自身も安心を感じています。例えば、そろそろ生理になるかもしれないけど、生理用品を持ち歩くかどうか迷うこともあると思いますし、予定よりも早くきた場合は持ち合わせていないこともあると思います。だからこそ、「会社に生理用ナプキンがある!」という安心感は大きいです。その安心を届けられるのはすごくいいですよね。

また、『誰もが快適な生理を』プロジェクトを通して、ノンポリマーナプキンの使い心地の良さを実感している女性も多いと思います。

―『誰もが快適な生理を』プロジェクトの導入をはじめ、従業員の健康管理への取り組みをいろいろと実施されていますが、今後やっていきたいことはありますか?

下久保さん:特に20~30代の女性は働き方が限定されがちだと思うので、もっと幅広い視点でキャリアをデザインしていきたいと考えています。

例えば、不妊治療は現状、会社として休暇やフレキシブルな働き方を考えることがメインになっていますが、卵子凍結など、別の選択肢があることを伝えていくなど、ライフステージに合わせてキャリア形成できるような取り組みを実施していきたいです。

山本さん:実は10月から更年期の女性をターゲットにした健康管理プログラムのトライアルを行う予定です。その取り組みの中で、リテラシーチェックをしようと考えています。

その結果を見ながら、必要なセミナーなどを実施することで、女性だけではなく、職制のリテラシーの向上につながると思います。そして、会社が寄り添うことで健康経営という側面でもプラスに働くと考えています。

執筆/木川誠子

No.00066

帝人株式会社

1918年に創業した日本の大手化学メーカー。現在は、マテリアル事業やヘルスケア事業などを展開し、子会社および関連会社数は約170社。「なでしこ銘柄」や「PRIDE指標」でも高く評価されており、多様な社員が働きやすい環境作りを心掛けている。

関連特集記事特集記事一覧