フェムテックは社会変革のひとつにならなければいけない!株式会社サンルイ・インターナッショナル代表・植物療法士 森田敦子さん~後編~【FJCトークルーム vol.4】

『フェムテックジャパンカレッジ』が聞き手となり、フェムテック領域で活躍する方々との対話をお届けする、対談企画『トークルーム』。

日本におけるフィトテラピーの先駆者であり、デリケートゾーン&パーツケアブランド『アンティームオーガニック』トータルライフケアブランド 『Waphyto(ワフィト)』などを展開する森田敦子さんをゲストに迎えた第4回目の後編をお届けします。

 

何歳になっても女性として生きる喜びを感じてほしい

FJC:日本におけるデリケートゾーンのケア習慣はまだ日が浅いからこそ、シニア世代に向けた取り組みも行っているということでしたが、具体的にはどんなことでしょうか?

森田さん: 2024年から『訪問看護ステーション』を立ち上げます。日本が高齢化社会になることを想定して、13年前から『医療法人社団 八千代会』と共に臨床と商品化を進めていました。

人生100年時代と言われていますが、その中ですごく大事になるのが下の世話と言われる事柄です。痛みや嫌なニオイに対しての自己防衛本能で認知症状を進行させていくことを考えると、高齢になっても自力でトイレに行くことができれば、元気に過ごせますし、恋だってできます。『訪問看護ステーション』の始まりは、私にとってのひとつのゴールであり、新たなスタートです。

FJC:2023年11月に発売された最新著書は『私のからだの物語』(ワニブックス)でも書かれていましたよね。

私のからだの物語

森田さん:はい。書籍の中でも『訪問看護ステーション』の取り組みについては書かせていただいているのですが、自分の身体をどういうふうに見てあげたらいいのか。特に女性性に関しては各章に項目を入れて、どこを読んでも怖がらせないけど、「女性として生まれてきたことに誇りを持っていいだ」と。そして、「いつまでも女性として生きることは大事なんだ」「年齢を重ねることは怖い、嫌だと思っていたけど、そんなことはないんだ」と思えるように、そういう身体作りをしていくための方法についても書いています

現状、フェムテックは感度の高い人だけが知っていることだと思います。ですが、腟まわりのケアが当たり前になったら社会が変わりますよね。社会変革のひとつにならなければならないのが、フェムテックだと思うのです。

なんとかなるの気持ちで歩みを進める

FJC:日本は保守的な考えが強いと言いますか、知らないこと、わからないこと、新しいことなどに敏感に反応して、攻撃的になるところがあると思います。まさに森田さんはその渦中にいたと思うのですが、そんな中で何を信念に歩みを進めてきましたか?

森田さん:私も20代で性科学を学んだ時、目から鱗ではなく、目がポトッと落ちたくらい驚きました。だから、みなさんがいろいろと言いたくなる気持ちも理解できます。でも、女性が健康で笑顔で過ごせていると社会は明るいのではないかと。そして、こういうことを感情的にならず、いい意味で淡々と伝え続けていくことが大事だと思って、ケセラセラの気持ちでやり続けてこられました。

そのモチベーションを保ち続けられた理由は大きくふたつあります。そのひとつは、桐島洋子さんと12年間一緒に暮らしていたことです。私がいろいろ言われていると、「気にしなさんな。自分の内側から湧き出てくる本当の想いを大事にして、ゆっくり歩いていけばいい」と、ずっと言い続けてくれました。

そして、もうひとつが八千代会さんと取り組んでいる『訪問看護ステーション』です。これまでだったら、医療現場でフィトテラピーや腟まわりのケアはできませんでした。それだけではなく、臨床もやり続けられたことはとても大きいです。

FJC:『訪問看護ステーション』で新たなスタートを切っていくことになりますが、ひとりの女性、働く女性として、これからの未来をどのように描いて進んでいきますか?

森田さん:フィトテラピーを日本で広めていく際に、「和のフィトテラピーをきちんと研究・分析をして伝えていきなさい」と、教授にかけてもらった言葉があります。和のフィトテラピーを体現しているのが、『Waphyto(ワフィト)』というブランドです。世界33ヶ国で展開している中で、日本の考え方のひとつ、利他の心、他者を思いやる気持ちは世界で尊敬されていると感じます。

Waphyto(ワフィト)

また、2023年2月号『ELLE』で「世界を変える女性100人」に選んでいただいた時に、さまざまな国の女性と会話をする機会がありました。その時にも、「利他の心は日本の考え方だよね」と言われました。だからこそ、利他の心という考え方も含めたシステムを作り上げたいと思っています。

だけど、日本の女性は頑張りすぎてしまっている人もいると思うので、まずは自分自身。自分のコップをいっぱいにしてから、思いやりの心を発動させてほしいです。

日本らしい利他の心も含めたシステム化

FJC:アイテムやサービスだけではなく、フィトテラピーや性科学などの知識、利他の心という考え方を含めてのシステム構築ですね。

森田さん:はい。日本ではひと足早く少子高齢化が訪れますが、他の国々でも起こるとされています。だからこそ、物理的なことを解消しつつ、心も満たしていくシステムは世界に輸出できる、伝えていけると思います。

FJC:その始まりとなる『訪問看護ステーション』をはじめ、これからの活動も楽しみにしています。本日はありがとうございました!

お知らせ:
フランス産婦⼈科専⾨医であり、『パリ第13⼤学 フィトテラピー(植物療法)学』元教授でもあるベランジェール=アルナール医学博⼠による来⽇公演を約5年ぶりに開催!

■DAY 1 Phytotherapy
2024年3⽉31⽇(⽇) 13:30〜16:00
【第1部】13:30〜14:00 ⽇本の介護現場におけるフィトテラピーの活⽤
【第2部】14:15〜16:00 ヨーロッパでの婦⼈科領域におけるフィトテラピーの活⽤

■DAY 2 Femcare & Sexology
2024年4⽉7⽇(⽇) 13:30〜16:00
【第1部】13:30〜14:00 ⽇本における性交痛外来の実際と必要なケア
【第2部】14:15〜16:00 ヨーロッパの性科学(セクソロジー)

申込み締め切り2024年3⽉24⽇(⽇)まで
https://store.womblabo.com/products/2024drberengere
※対⾯式は各⽇定員 120 名となりますので、満席となり次第、締め切りとなります。

No.00106

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