産学連携の取り組みで、自分の身体に意識を向けられた【『誰もが快適な生理を』リアルヴォイスvol.3 京都ノートルダム女子大学】

『誰もが快適な生理を』プロジェクトは、『フェムテックジャパン』の取り組みのひとつ。学校や企業、公共施設などのトイレにノンポリマータイプの生理用ナプキンを設置し、ひとりでも多くの方がより快適な生理期間を過ごせるよう支援しています。

この企画では、プロジェクトの想いに賛同し、導入を開始した学校や企業などに訪問し、リアルな声をお届け。第3回目は『京都ノートルダム女子大学』です。このプロジェクトを担当した、現代人間学部 心理学科 松島るみ教授、尾崎仁美教授、さらに、松島ゼミに所属する3回生 豊嶋望真さん、尾崎ゼミに所属する林綾香さんにお話を伺いました。

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『誰もが快適な生理を』とは?

 

産学連携の取り組みとしてスタート!

産学連携の取り組み

―『誰もが快適な生理を』プロジェクトを始めるきっかけから教えてください。

松島教授:産学連携をテーマにした取り組みを行っている中で、このプロジェクトがあることを紹介していただきました。学生たちの学びとして活用できないかと考え、具体的なお話を伺い、生理用品を無償で置くことで学生たちがどのように感じるか、その取り組みを行う大学にどのような印象を抱くのかということに一度チャレンジしてみようと。そこから学生たちの意向を確認し、3つのゼミで取り組むことになりました。

―『誰もが快適な生理を』プロジェクトの話を伺った時、豊嶋さんと林さんはどのように感じましたか?

豊嶋さん:私は、大学と企業が連携する取り組みがあることを初めて知りました。そして、大学生の時から企業と関わって社会と通じていくことは、自分自身が成長できる機会だと思いました。

林さん:私は2回生の後期で、産学連携の授業を受講していたのですが、その経験は楽しかったですし、私にとって大きな成長になったとも感じていました。今回も、成長につながるのではないかという期待がありました。

また、話を伺ってみると、自分の身体のことなのに知らないことがあって、この取り組みを通して自分のことをもっと理解したいというふうにも思いました。

―具体的にどのように取り組んでいったのか教えてください。

林さん:私が所属している尾崎ゼミでは、3つのグループに分かれて調査をしました。私のグループでは、ポップを用意して、ノンポリマーナプキンについて知ってもらえたかどうかをメインに、実際に置いてみてどう変化したか、取りやすかったかなど、ナプキンの無料提供の利用状況に関する調査を担当しました。

他のグループでは、ナプキンの利用状況と購買行動に関すること、生理用ナプキンにまつわるストレスに関する調査しました。

豊嶋さん:私が所属する松島ゼミでは、『ナチュラムーン』の使用感について、今使っている生理用品と比べてどうかということを調査しました。そのことに付随して、生理についての悩み、生理用品の種類やこだわり、使用している理由、購入する時に重視することなどのアンケートの実施。その後、『ナチュラムーン』の使用感、人にすすめたいと思ったか、その後どのような行動をしたかなども聞きました。

※取材に参加できなかった下田ゼミでは、『生理用品の無料設置が大学に対する印象に及ぼす影響』について調査。

自分の身体と向き合うきっかけになった

自分の身体と向き合うきっかけ

―取り組みを通して印象に残っていることはありますか?

林さん:どうすれば手に取ってもらいやすくなるか、個室に置く場合と共有スペースに置く場合で調べてみました。私は個室のほうが多いと思っていたのですが、共有スペースでも気にならないという回答が多かったことは意外でした。

フェムテックという言葉自体はまだ広まっていない印象がありますが、それでも少しずつ「恥ずかしいことではない」ということは広まりつつあると感じましたし、大学全体で取り組んでいたからこそ得られた結果がたくさんあったので、学びがありました。

豊嶋さん:今回の調査では、生理の症状で悩んでいる人が半々という結果だったのですが、その中でも頭痛に悩んでいる方が多かったです。私自身は下腹部に痛みを感じることはあっても、頭痛が起こることはなかったので、その結果には驚きました。

また、ナプキン、タンポン、吸水ショーツ、布ナプキンの使用率も調べたのですが、タンポンの使用率がすごく低かったです。小・中・高と水泳の授業があったので、その時に生理になったらタンポンを使うと思っていましたが、「生理になったら休む」という選択をしていた人が多かったということを知ることもできました。

自分の身体をすごく気にするように

―では次に、今回の取り組みで経験ができてよかったと思った点を教えてください。

豊嶋さん:自分の身体をすごく気にするようにはなりました。今までは、「生理不順でもまぁいいや」と思っていたところがありますが、婦人科を受診して問題ないことがわかりましたし、今度どのように向き合っていくかを考えるきっかけにもなりました。

そして、生理について話すことによって、自分の悩みだけではなく、周りの悩みを知ることができ、いろんな症状があることもわかりました。ネットの情報ではなく、実際に聞いたことで実感が湧いたところがあるので、これからはもっと周りを気遣えるようになれると思います。

林さん:今回の取り組みを通して、『Femtech Japan Femcare Japan 2023 in OSAKA』に参加させていただけたことがとても大きかったです。

正直、イベントに参加すると聞いた時は、「大丈夫かな」という気持ちがありました。だけど、今回の取り組みの発表やブースのお手伝いなどを通して、積極的に行動できたと感じて、楽しかったですし、成長できたように思います。

―ノンポリマータイプのナプキンを使用してみてどうでしたか?

林さん:普段は、母が買ってきてくれたものを使っているのですが、肌が弱いのでナプキンでかゆみや痛みを感じることがあります。

今回ノンポリマーナプキンをはじめて使用して、個人的な体感ではありますが、肌触りが柔らかくてチクチクしないことに驚きました。母にも「使ってみて!」と話したくらいです。

豊嶋さん:私も家族と同じものを使用していて、ノンポリマータイプを使ったのは今回が初めてです。

取り入れる前にレビューを見たのですが、その中に「温かさを感じた」という意見があって、私自身も「なんか温かい気がする」と。あとは、林さんと同じで私もナプキンでかゆくなることがあるのですが、それがなくてすごく驚きました!

この取り組みは成果ばかり!

この取り組みは成果ばかり―取り組みを見守りながら、松島先生と尾崎先生が感じたことを教えてください。

尾崎教授:こういう活動は意欲がないと続かないと思ったので、最初に「グループに分れて研究するけど、この取り組みをやるか、あるいは自分たちで別のテーマを考えてやるか選択肢があります」と確認しました。結果、全員がこの取り組みをすることになったのですが、必ずしも前向きな気持ちだったわけではないように感じていました。そのため、最初はどうなるかなと思っていたのですが、具体的に行動する中で、補い合いながらチームで動くことができたのは、すごく大きかったと思います。

また、イベントに参加したことで、自分たちの取り組みに興味を持ってくださる方がいることを実感して、いろんな方と会話することで勉強になったところもあると思うので、いい経験になったと感じています。

松島教授:イベントの時、ブースに来てくださった来場者さんに自ら話しかけに行く姿を見た時が一番感動しました。自分たちが取り組んできたことを、人に伝えたいという姿勢を見せてくれたことが本当に嬉しかったです。

また、自分たちの研究について、話す機会が持てたこともよかったと感じています。自分の身体について見直すこともそうですが、学生同士でも生理や生理用品に関して話す機会はあまりないと思うので、みんなが議論している姿はすごく新鮮でしたし、このような形で産学連携ができたことはとてもよかったです。

 

 

執筆/木川誠子

No.00111

京都ノートルダム女子大学

京都府京都市左京区に所在。“徳と知”を建学の精神とし、社会と国際社会の平和に貢献できる感性豊かな女性の育成を目指した私立大学。中学校、高等学校、小学校ののち、1961年に大学が創立された。

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